色は語る

色は語る 色彩と心理の不思議な関係を読む (だいわ文庫)「女の子はピンクが好き」など、よく言われることだ。
しかし、本書の著者はそれは違うという。
色の持つ意味は、人間の本能の刻まれているというよりも、文化の影響が大きい。
色についての豊富な文化的背景が語られる本書を読むと、色と人間の関係の奥深さと、我々が思っている色に対するイメージが、近年形成されたものに過ぎないことを知ることができる。
色にこれほど歴史があるとは!

赤、黄、茶、緑、青、紫、ピンク、白・灰・黒について、世界での、日本での、それぞれの時代でのイメージが解説されている。
「聖書」や「日本書紀」でのそれぞれの色の扱われ方と現代への影響は、とても興味深い。
現在当然と思っているイメージが、時代によってどのような変遷をたどってきたかを知ることは、常識を疑う足がかりになる。
何より、それぞれのエピソードが面白い。
人間が猿から進化した時に、色の役割が変わったという仮説もあり、覚えておけばちょっとした自慢になるだろう。
この本で紹介された膨大なエピソードを覚えておけるほど記憶力が良くないのが残念だ。

人類が直立歩行するとコミュニケーションが対面式になり、鍵刺激のような生殖スイッチの刺激は、からだの正面になる必要が出てきました。
だから赤く膨れる下半身のかわりに、成熟すると正面の乳房が膨らんだ状態となり、また「唇」も女性外部生殖器の擬態として発達した、というのです。

有名なのが紀元前1500年ごろ、地中海フェニキア地方の巻貝の分泌液で染められた貝紫、またの名を「プルプラ(パープル)」。
1個の貝から採れる分泌液はほんのわずかで、1gを得るのに2000個(さまざまな説があります)以上の貝が必要。
つまり万単位の貝を集め、そこから分泌液を抽出するという気の遠くなるような作業が必要な色なのです。

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