樹木たちの知られざる生活

樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声ドイツの森林管理官による樹木の生態に関する本である。
樹木たちの驚くべき生活が語られている。
樹木たちには社会生活があるのだ!
樹木たちは、お互いにコミュニケーションを図り、助け合って森を維持している。
こんな設定のSFがあったら、きっとまゆつばだと思う。
しかし、現実はセンス・オブ・ワンダーに溢れている。

古い大木の切り株も、実は生きていることがある。
葉がない切り株は光合成ができず、栄養としての糖分が作れないはずだ。
しかし、他の木と根が繋がっていたり、根の先の菌糸が繋がっていたりして、栄養の補給を受けている。

なぜこのようなことをするのだろう?
人間と同じく、木も協力することで生きやすくなる。
たくさんの木と手を組んで森となることで、暑さや寒さに抵抗しやすくなり、たくさんの水を蓄え、空気を適度に湿らせることができる。

木は人間のような言葉はしゃべらないが、芳香物質を使う。
キリンに食べられたアカシアは、警報ガスを発して、仲間に危機を知らせる。
警告を受けた仲間の木は、葉のなかに有害物質を貯めて、食べられないようにする。

急激に生長することによって弱い木にならないように、親の木は子どもの木を教育する。
など、樹木の奥深い世界を知ることができる一冊である。
そのうち、読み返してみたい。

10月を過ぎたころから強風が増えてくる。樹木にとっては生きるか死ぬかの大問題だ。時速100キロに値する風が吹けば、大木ですら倒れることがある。時速100キロといえば、週に一度は吹く程度の強さでしかないが、換算すれば200トンもの重圧がかかる。ただでさえ秋の長雨で土壌がぬかるみ、根が不安定になっているので、普通ならひとたまりもなく倒れてしまうはずだ。
そこで広葉樹は対策を立てた。風の当たる面を減らすために、帆を、いや、”葉”をすべて落とすことにしたのだ。その結果、1本につき1200平方メートルもの面積に相当する葉がすべて地面に消えてなくなる。帆船にたとえると、40メートルの高さのマストを掲げた幅30メートル高さ40メートルのセールをたたむのと同じ計算だ。

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