ソロモンの指輪

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)有名な動物行動学の古典である。
ひな鳥が生まれて初めて見たものを親と思う「インプリンティング」は、この本で有名になった。
研究所というより、ローレンツ先生の動物観察日記という感じで、楽しく読める。
何よりもローレンツ先生の動物好きが伝わってくる本である。

「ソロモンの指輪」があれば、動物と話をすることが出来るようだが、私なら、指輪がなくても動物の考えていることが分かる。
というのが、本書のタイトルの由来である。

この本では、魚や鳥、犬たちの驚くべき生態を知ることが出来る。
これらはローレンツが、日々観察して分かったことだ。
ローレンツは、動物たちを観察するために一緒に生活することが多く、さぞ家族は大変だったと思う。

また、動物の行動を説明する中で、人間への批判がそれとなく入っている。
動物は本能で行動するが、本能だけで行動するわけではない人間は、決して彼らより上等なわけでない。

本書を読むと、犬を飼いたくなる。
どうせ飼うならオオカミ系の犬がいい。

「あ、鳥が籠から逃げちゃった。はやく窓をしめて!」──よその家ならこう叫ぶ。
私の家では反対だ──「おうい、窓をしめてくれ!オウムが(カラスが、オマキザルが)はいってくる」。

じつはトウギョは相手をみただけでは仲間の性別が 見分けられない。
遺伝的に受けつがれ、厳重に「儀式化」された本能的なダンスの動きに、相手がどんなぐあいに答えるかをみた上で、それを判断するほかないのである。

真の文化をもつひまさえない現代文明人の少々ばかげた忙しさは、動物にはまったく縁がない。
勤勉の象徴であるミツバチやアリでさえ、一日の大部分をなにもせずにすごす。
ただ人間にはそれがみえないだけだ。
この偽善者たちときたら、巣にもどってすわったら、もう何一つ仕事はしない。

ある種類の動物がその進化の歩みのうちに、一撃で仲間を殺せるほどの武器を発達させたとする。
そうなったときその動物は、武器の進化と並行して、種存続をおびやかしかねないその武器の使用を妨げるような社会的抑制をも発達させねばならなかった。

オオカミ系のイヌは、大型ネコ族の猛獣の性質をたくさんもっている。
彼は死ぬまできみの友である。
だがけっしてきみの奴隷にはならない。
彼はきみという人間なしに生きてゆけないけれど、確固とした自分なりの私生活をもっているのだ。

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