怪獣記

怪獣記 (講談社文庫)体当たりルポライター高野秀行の今回のお題は「UMA」である。
UMAとは未確認動物のことであり、ネッシーなどがこれにあたる。
トルコの辺鄙に村にUMAが現れたという噂を確認するために、現地調査に向かう。
そこで出会ったのは、UMAより怪しい人々だった。

やっていることは昔懐かしい「川口探検隊」のようだが、舞台裏も分かってしまうし、スポンサーなしの少人数構成だから、いろいろとショボい。
はじめは半信半疑だったが、現地で調査をするうちに、段々と盛り上がってくる。
日本人たちよりも現地のサポートスタッフが本気になってしまうのが微笑ましい。

本当にそれらしいモノを目撃してしまう。
いままで目撃者の証言を胡散臭いものとして聞いていたが、今度は自分たちが怪しい証言者となってしまい、信じてもらえないという展開が可笑しい。

結局、謎のUMAの正体は何だったのだろうか?

UMAというのは一種の病気であり、感染力は強い。
近くに強力な症状を発症している患者がいると、「そんなもんにかかってなるものか」という自分の意志とは関係なく、罹患することががある。

この期に及んで、私は今回の旅で、私たちに目撃談を語ってくれた人々を思い出した。
せっかくわざわざ記憶を掘り起こして話してくれているのに、曖昧だとか熱意が感じられないとか「また同じ話かよ」などと受け流し、事務的にメモをとっていたことを心から詫びたい気持ちになった。

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