神は数学者か?

神は数学者か?──数学の不可思議な歴史 (ハヤカワ文庫NF)この本のテーマは、「世界は数学で出来ているのか」それとも「世界を記述するために人間が数学を発明したのか」である。
なぜなら、世界はあまりにも数学でうまく説明できるので、元々数学に基づいて出来ていると考えたくなるのだ。
この2つの考え方の対立の歴史が、古代ギリシャから中世、近代、現代と語れれている。
普通に生活している分には、どうでもいい問題だと思うが、哲学者や数学者、科学者にとっては大変な問題だったようだ。

物理学では現象を数式化し、予測する。
過去に発見された公式が、新しく発見された物理現象の説明に利用できることがあるので、現実世界の中に数学が隠されていると考えたくもなる。

この本では、以下のように、古代ギリシャから現代に至る様々な偉人や派閥について解説している。

・神秘学者 ピタゴラスとプラトン
・魔術師 アルキメデスとガリレオ、デカルトとニュートン
・統計学者と確率学者
・幾何学者たち
・論理学者たち

超ひも理論まで引っ張り出しておいて、著者の最後の結論はいささかズルい。
2つの派閥の間をとって、半々を提案しているのだ。

確かに数字には不思議な魅力がある。
その組み合わせに意味を見出してしまう魔力がある。
結局、本当に神でも現れない限り、この論争が終わることはないのかもしれない。

体重からIQまで、さまざまな人間の特徴が正規分布に従うという事実そのものが驚きである。
もし驚かないというなら、野球のメジャー・リーグの平均打率や、さまざまな株式で構成される株式指数の年間利益率も正規分布に従うと言ったらどうだろう。
逆に言えば、正規曲線に従わない分布には注意が必要だ。

「数学は発明か? 発見か?」は愚問である。
なぜなら、答えは必ずどちらか一方で、ふたつは互いに相容れないと仮定しているからだ。
むしろ、私は半分が発明で半分が発見だと提案したい。
一般的に、数学の概念は発明であり、概念同士の関係は発見である。

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