ITアーキテクチャのセオリー

――システム構築の大前提―― ITアーキテクチャのセオリーEAの中心をデータHUBに据えた方法を解説している。
基本的な考え方は分かるが、たまに入ってくる造語が分かりにくくしている。
エンタープライズ・アーキテクチャ自体が懐かしい感じもするが、包括的方法論として、まだこれに代わるものはないのだろう。
現代的なアーキテクチャの貴重な参考書である。

大規模化した企業のシステムは、スラム化しており、都市計画のような全体計画が必要になっている。
具体的にはROIへの貢献を軸に、バランス・スコアカードなどを駆使して、全体最適化を考える必要がある。

現代のシステムは、スコープが拡大しており、そのために複雑になっている。
システムの対象が、自社から、子会社、パートナー、消費者へと広がっている。

この本では、アンチパターンを提示することで、システムの検討を促している。
例えば「ユーザヒアリングのままUI主導開発をしてはならない」である。
ユーザの要望からは、イノベーションは生まれない。
フォードがユーザからの要望を聞けば、「速い馬が欲しい」と言われ、自動車は人々に行き渡らなかっただろう。

この本でのポイントは「基幹系システムの疎結合」だろう。
粒度もタイミングも異なる複数のシステムを緩やかに結合する考え方だ。
ECサイトは24時間情報の更新が必要だが、会計システムは月末に帳尻があっていればよい。
そのためにデータHUBの導入を提唱している。
共有度の高い情報からマスタHUBとトランザクションHUBに統合する。
データHUBの利用により、接続数の削減が見込める。
また、緩やかな移行が可能になる。

現在コンサルしているお客様にジャストフィットの本だ。

従来、別会社のシステムだった販社の受発注システムと、親会社の受発注システムが統合したり、あるいは、B2B2B2C型で、販社の先にある代理店への受発注システムが”提供”されていたりします。つまり、会社、法人を越えてアプリケーションを共有し、情報品質の精度・鮮度の向上や、業務効率化を図るという動きです。

モノリシックなERPパッケージによるリアルタイムなデータ一貫性は、その作り手にとっては理路整然としていてシンプルです。受注・出荷・売上計上・在庫/棚卸資産減少・売掛金計上といった一連の処理がリアルタイムに行われ、実に気持ちが良いのですが、ビジネスにとっては、必ずしもリアルタイム性が必要というわけではありません。たとえ売上計上が出荷基準であっても、同時に売掛金残高が更新されなくても通常は問題ありません。棚卸資産残高の減算も同様に、リアルでなくても構いません。しかし、ビジネスが要求するタイミングにおいては、一貫性を維持する必要があります。

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