神話学入門

著名な神話学者を比較して、神話学史を語ろうという試みである。
著者によると、神話学は19世紀型と20世紀型に分かれるようだ。
理解しきれなかったところもあるが、神話学の歴史的流れが大まかに知ることができて、面白かった。

19世紀型の神話学は、ダーウィンの進化論の影響を強く受けている。
人間は最終的には科学に向かうべきで、宗教はその過程で通る一過性のものだとしている。

20世紀型の神話学では、精神分析の影響が大きい。
神話は相対的で優劣はなく、人間の心の中に潜む共通の要素に影響されている。
フロイトの影響もあるが、ユングの「元型」に近い考え方である。
また、構造言語学の影響もあり、神話を要素に分解し、人類共通のパターンを発見しようとしている。

なお、本書で扱われている神話学者は以下の通り。

マックス・ミュラー
進化論の立場。人類最古の神話の再建に関心。神話の起源は天上の自然現象への原始人類の驚きにあるとする。儀礼について無関心。

フレイザー
進化論の立場。神話は呪術段階の産物とする。神話の起源は地上。神話と儀礼は慣習に由来。慣習の物語化としての神話。

デュメジル
歴史言語学の影響。個別文化的。関係性・システムの重視。神話と儀礼を同等に評価。対象をインド=ヨーロッパ語族に限定。

レヴィ=ストロース
構造言語学の影響。理知的な無意識。普遍主義的。関係性・システムの重視。神話と儀礼を別物とする。対象は主として南北アメリカ神話、つまり無文字社会。無文字社会の神話と歴史社会の神話には違いを認める。

エリアーデ
起源神話中心。普遍主義的。歴史の恐怖。宗教に代わるものとしての神話と儀礼。神話と儀礼を同等に評価。対象は無文字社会も歴史社会も含む世界中の神話。

キャンベル
ユング心理学の影響大。英雄神話中心。個人にとっての神話。普遍主義的。アメリカニズム。宗教に代わるものとしての神話。神話を読むことによって力を与えられるという「神話の力」観。儀礼についてはあまり関心がない?対象は無文字社会も歴史社会も含む世界中の神話。

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