ナイトフライヤー

TVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のヒットで一躍メジャー作家になったジョージ・R・R・マーティン。
彼のSF短編「ナイトフライヤー」もNetflixでドラマ化された。
ドラマ版「ナイトフライヤー」は、マーティンの作品らしからぬ気がしたので、原作を読んでみることにした。
短編なのでTVドラマ版よりは要素が少ないが、基本的には同じようなストーリーだった。
「ワイルドカード」シリーズなどはもっと面白かった気がするのだが、作風が変わってしまったのだろうか。

本書は、表題作である「ナイトフライヤー」を含む6作の短編集である。

「ナイトフライヤー」
超高速で星間を航空する「ナイトフライヤー」は、存在を予言されている未知の生命体を求める旅をする。
情緒不安定な超能力者やホログラムでしか姿を現さない船長など、乗務員は普通ではない。
船内で不可思議な死亡事故が発生し、乗務員は疑心暗鬼になっていく。
目的の生命体に近づくものの、船は何者かに支配されていることが分かる。
宇宙版のお化け屋敷だった。

「オーバーライド」
偏狭の惑星で鉱物の発掘をしている人間たちが道具として使っているのは死人だった。
惑星の支配構造が変わろうとする時、道具である死人が持ち主に牙を向く。

「ウィークエンドは戦場で」
流行の週末レクレーションは、戦場での戦闘参加だった。
いやいや参加した主人公は、リアルに人が死ぬ戦闘に巻き込まれていく。
戦闘能力のない彼だったが、戦場では彼の本性が暴かれていく。

「七たび戒めん、人を殺めるなかれと」
狂信的教団が、未開の惑星に乗り込み、先住民族を征服していく。
先住民に同情的な商人の抵抗もむなしく、先住民は蹂躙されていく。
しかし、最後に教団が得たのは悲惨な勝利だった。

そのほかに「スター・リングの彩炎をもってしても」「この歌を、ライアに」がある。
残念ながら、どれも私の趣味ではなかった。
この短編集は、エンターテーメント性よりも哲学性が強かった気がする。

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