人間+マシン

世の中、AIに仕事を奪われると不安になっているなか、珍しく楽観的なAI観である。
AIは人間の能力を拡張し、その結果業務プロセスは再設計される。
そして、新しい仕事が生まれる。
基本的には同感だが、そこまですべてがバラ色とは思えない。

工場、会計、R&D、カスターサポート、営業など様々な分野での人間とマシンの協業の現在と未来が語られる。
その豊富な事例は、どれも前向きだ。

本書で語られるキーになる概念は「ミッシングミドル」である。
人間とマシンが協力することで、桁違いのパフォーマンスが発揮される。
「ミッシング」と言っているのは、まだ誰も語っていないから、だそうだ。

ミッシングミドルの中では、4つの分野が定義されている。
人間だけの活動領域として、主導、創造、共感、判断がある。
マシンだけの活動領域としては、トランザクション、反復、予測、適応がある。
人間とマシンの領域は、2つに分かれる。
人間によるマシンの補完としては、訓練、説明、維持がある。
AIによる人間へのスーパーパワー付与には、増幅、相互作用、具現化がある。

AIに仕事を奪われても、人間は新しい仕事を生み出す、と言われることが多いが、具体的にどんな仕事か語られることはない。
本書では、ちゃんと新しい仕事をいくつか想定している。
ひとつは、AIのトレーナーである。
AIが学習するためには、データーが必要であり、誤ったデータで学習すると、誤った学習をしてしまう。
だから、AIを正しく訓練する人間が必要になる。
もうひとつは、エクスプレイナーである。
これはAIが判断した根拠を説明する職種になる。
AIが正しい判断をしても、その根拠が不明では人間は不安になる。
AIの判断根拠を人間に分かるように説明する人間がエクスプレイナーである。

未来が楽しみになる本だ。
アトムやドラえもんの日本人には受け入れやすいのではないだろうか。

ビジネス変革の第2の波は。既存のプロセスを自動化することを意味していた。そしてこの時代は、多くの人間がマシンに取って代わられた。それとは対照的に、第3の波では、ゼロから設計された適応力のある業務プロセスが実現される。そしてそのゴールは、「人間+マシン」なのである。

私たちは研究(そこには1500社のサンプルが選ばれた、450の組織に対する事例研究も含まれている)を通じて、これまでの定量的調査が見落としてきたいくつもの重要な現象を把握することができた。そのひとつが「融合スキル」の概念である。つまり人間とマシンが共に働くことで、新しい仕事や職務体験が生まれてくるのだ。

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