偶然の聖地

最初は秘境冒険ものかと思ったが、読んでいるうち段々とSFになっていった。
キャラクターが多く、時系列が入り混じって分かにくいのだが、後半でこのような構成になっている理由が判明する。
面白い視点の不思議な作品だった。
いまの日本のSF作家は、実験的な試みをしつつエンターテイメントとして楽しめる作品を作る人が何人もいるので、頼もしい。
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悪と全体主義

ナチスのユダヤ迫害から生き残ったハンナ・アーレントの思想を解説した本である。
ハンナ・アーレントには、「全体主義の起源」「エルサレムのアイヒマンー悪の陳腐さについての報告」という有名な著書がある。
「エルサレムのアイヒマンー悪の陳腐さについての報告」については、アイヒマンが極悪人ではなく普通の官僚だった、と報告したことで厳しい批判を浴びた。
しかし、むしろ普通の人だったことの方が問題であることが本書を読むと分かってくる。
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東京の子

舞台は、2020年の東京オリンピック後の東京。
移民、教育、産業などの問題を扱っており、遠い未来のSFというよりも、現代の問題をSFの形で分かりやすく提示している。
現代的問題を若いトラブルバスターが解決するのは、池袋ウェストゲートパークに近い雰囲気である。
親の虐待が背景にあるので雰囲気が重いが、パルムドールのアクションの爽快さが救いになっている。
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地層の基本

「ブラタモリ」を観ていると、地層について知りたくなる。
地層や地学に詳しいタモリが、とてもかっこいい大人に見えてくる。
それでいくつか地層や地学の本を読んだが、なかなか頭に入ってこない。
そんな中、この本は、基本中の基本だけに絞って説明しており、この知識を土台とすれば、もっと「ブラタモリ」が楽しめるに違いないと思う。
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いちばんやさしい量子コンピュータの教本

次に来るトレンドのひとつは量子コンピュータであることは間違いないと思う。
しかし、いろいろな本を読んでも、量子コンピュータを理解することができない。
この本を読んでも量子コンピュータを理解したとは言えないが、量子コンピュータが万能ではなく、特定の分野に強いコンピュータであることは理解できた。
また、根本的な理屈は納得できないものの、量子力学的な特徴を活かしたテクノロジーであることも、うっすらと分かった気がする。
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