ニューパワー

ネットワークの力を使い、多くの人を動かすのが容易になった。
これが、著者の言うところの「ニューパワー」の源泉である。
少数の人間に力が集中する「オールドパワー」に対し、「ニューパワー」は素晴らしいものに思える。
しかし、どちらも「パワー」の使い方であり、ISISも巧みに「ニューパワー」を駆使していることを考えると、どちらが善でどちらが悪というものではない。

「オールドパワー」と「ニューパワー」には以下のような違いがある。

「オールドパワー」
・貨幣
・少数の人が握る
・ダウンロード型
・リーダー主導
・閉鎖的

「ニューパワー」
・潮流
・多くの人が生み出す
・アップロード型
・仲間主導型
・開放的

そして、それぞれに価値観が異なる。

「オールドパワーの価値観」

・フォーマルな統治(代表者による運営)、管理統制主義、制度尊重主義
・競争、独占、リソースの統合
・機密保持、慎重、公私の区別
・専門知識、プロフェッショナリズム、専門化
・長期の所属と忠誠、全面的な参加度は低い

「ニューパワーの価値観」

・インフォーマルな統治(ネットワークによる運営)、自己組織化
・コラボレーション、群衆の知恵、共有、オープンソース
・徹底的な透明性
・メイカー・カルチャー、「自分たちでやろう」の精神
・短期間の条件付き所属、より全面的な参加

世界一のテクノロジー企業であるアップルは、実は「オールドパワー」に属する企業である。
本書では、NASAやレゴ、オバマの大統領選挙などの事例を使って、「影響力」の行使、「群衆」の誘導の仕方、コミュニケーションの方法などを解説している。

どちらの「パワー」を使うべきかはケースバイケースであり、時には2つを組み合わせることで、最高の結果を出すこともある。
確かに、自分の歯科治療には集合知よりもプロフェッショナルに頼りたい。

ISISは中世の暗黒時代へと逆戻りを企んでいるようにも見えるが、その宣伝組織は多数のプラットフォームや手法を駆使しており、きわめて現代的だ。

巨大なプラットフォームも、我々の存在なくしては空っぽの容器にすぎず、成功するか衰退するかは、我々の決断にかかっている。我々がニューパワーのプラットフォームに参加するかしないか決めるときは、「楽しい」とか「便利になる」という理由だけでなく、社会にとって広く役立つか、害を及ぼすかを、しっかりと考える義務があるのだ。

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