父が娘に語る経済の話。

父親が娘に語り聞かせるような形で、経済についてやさしく説明している本である。
言葉の使い方はやさしく、分かりやすいように説明しているが、経済の根本に関するテーマなので、理解するのはなかなか難しい。

この本では、「格差」が発生したのは、農耕による余剰が原因だとしている。
しかし、余剰を記録するために文字が生まれ、その交換に信用が必要となったので国家が生まれた。
また、支配者が支配を続けるために、官僚、軍隊、宗教が発達した。

市場社会が発生すると、労働者や土地など、すべてのものが売り物になった。
農奴が開放されたが、自分で仕事を探さなければならなくなり、ホームレスになるリスクを抱え込むことになった。

経済学の視点からみた人間の歴史について解説されているが、現代の我々が行うべき正解は提示されない。
それは、我々への宿題として、残されている。

だが、経済が定期的に災厄に見舞われると、そのたびに人間の労働力は復活する。倒産や経済危機によって、少なくとも当分のあいだ人間の労働力は安くなり、生き残った企業は高価な最新型のロボットのかわりに失業者を雇い入れるようになる。経済危機は回復の前触れであり、回復は経済危機の前触れなのだ。

平たく言うと、こういうことだ。われわれ人間は、テクノロジーの可能性を余すことなく利用する一方で、人生や人間らしさを破壊せず、ひと握りの人たちの奴隷になえうこともない社会を実現するべきだ。

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