銀河帝国は必要か?

アシモフを中心として独特のSF解説でもあり、技術と倫理についての考察でもある。
倫理面についての深堀りは、専門的で少し難しいが面白い。
技術に関する倫理的考察に、SFは参考になるが、現実が追い越してしまったところも多い。
ちなみに「銀河帝国」とは、アシモフの「ファウンデーション・シリーズ」の舞台である宇宙開発を進めた人類の帝国である。

ロボットのあり方について、古典的SFと現実はイメージが違ってきている。
現代のロボットは、常にネットワークに接続されており、独立した個体というよりも、ひとつの器官に近い。
SFで一般的にイメージされる自分で考えるロボットは、距離によって情報伝達に時差が発生する宇宙開発でのみ出番があるかもしれない。

もうひとつのテーマとして、異星人との出会いを考察している。
長年に渡る異星人からの電波を探す研究と他の恒星との距離を考えると、異星人との出会いは期待できない、というのが近年の科学とSFの傾向のようだ。
それよりも、過酷な宇宙空間や他の惑星での生活に適応するために、生物学的・機械的に自らを改造したポスト・ヒューマンとの関係こそが、異なる知性との出会いになる、と考えれれているらしい。

この本では、ロボットSFやミステリー、科学読み物で有名なアシモフの作品を中心にして、予想される未来の課題を考察している。
ロボット3原則で有名なロボット物のシリーズと、「ローマ帝国衰亡」を元に未来の人類を描いた「ファウンデーション・シリーズ」が、最終的にはひとつのシリーズに統合されていたとは、知らなかった。
ロボット3原則の前に、第零条があったというのだ!
そこでは、ロボットがまず守るべきなのは、個別の「人間」ではなく「人類」だとされている。
そこから導かれる結論として、人類の主体性を守るため、ロボットは姿を消していく。
しかし、人類が間違った方向にいかないよう、影の存在として見守っている。
という、壮大なストーリーらしい。
そのうち、読んでみようと思うが、オチを知ってしまっても楽しめるだろうか?

三原則は基本的には具体的な個人としての人間を想定したものですが、人間は社会的な存在であり、集団としての人類もまた三原則の射程に入ります。しかしながら先に見たように、この人類とは具体的には何をどこまで指すのか、は必ずしも明らかではありません。先ずもってそれは抽象理念なのであり、具体的な適用に際しては、状況に応じてさらなる判断が必要とされます。

そうしてみた場合、bとcとdの対比、乱暴に言えば「銀河帝国か引きこもりか」の対立は、平均功利主義と総量功利主義の違い、と言うふうに解釈することができます。

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