ボーダー 二つの世界

異色の吸血鬼小説「モールス」の作者だということは、途中で気づいた。
この作品も「モールス」同様にショッキングである。
異質な存在であることの驚きよりも、性的な問題でビックリするのも同じ。
表題作である「ボーダー 二つの世界」を始め、スウェーデンの底辺の人々のを主人公にした境界を超える物語が多く収録されている短編集だ。

主人公は税関の係員である。
外見は醜いが、相手の嘘を見抜く特殊な能力を持っている。
静かに暮らしていたが、不気味な訪問者の持ち物検査をしたことから世界が一変する。
彼は何かを隠しているのだが、見抜くことができない。
何度も会ううちに、彼に心惹かれていく。

【ここからはネタバレ】
身体検査をすると、実は女性だったことが分かる。
それだけではなく、人間ではなかった。
本書の中の描写を読む限り、妖精のような存在らしい。
2人はセックスすることになるが、その時、主人公は女性でないことが判明する。
訪問者と同じ生き物だったのだ。
主人公の股間からは、男根のようなものが出現する。
不思議なラブストーリーである。

その他、以下の短編が収録されている。

・坂上のアパートメント
・Equinox
・見えない! 存在しない!
・臨時教員
・エターナル/ラブ
・古い夢は葬って
・音楽が止むまであなたを抱いて
・マイケン
・紙の壁
・最終処理

恋は全てを変える。
(中略)
大きいことも小さいことも、全てがただ1人の他人に結び付けられる。これが恋というものだと彼って思った。ひとりでいるのは、記憶はしても、計量器と同じことで何にもならない。恋をすると、相手を思うことで自分以外の人が存在していると言うことが実感される。そして世界が広がり、人生に夢のようなものが出てくる。彼はそう考えた。

ひととおり話を聞いてローランドは言った。「よし。参加するよ」
「本当のところを言いますけど」カッレは言った。「結果がどう出るかは、俺にも全然わからないんですよ。相当ひどい失敗に終わるかも」
「人生はどのみちひどい失敗に終わるものさ。少なくとも俺の人生はそうなっている」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です