人間の性はなぜ奇妙に進化したのか

「銃・病原菌・鉄」のジャレッド・ダイヤモンド博士の著作だということを読み終わってから気づいた。
本書では。ヒトのセクシャリティに焦点をあてている。
他の動物に比べて人間の性がいかに特異であるかを、進化生物学の視点で解明している。

ダイヤモンドによると、他の動物にくらべて、人間の性生活は次の点で奇妙である。
1.長期に渡ってペア関係を持ち、主にパートナーとセックスする。
2.夫婦で子供の世話をする。
3.夫婦は社会の一員として生活する。
4.夫婦は二人で内密に性交する。
5.排卵が隠されており、楽しみのためにセックスする。
6.4〜50代過ぎた女性は閉経を迎える。

男女の利害対立として、両親のどちらが子供を育ているかというのがある。
その決定には、3つの要素が関係する。
1.どちらが受精卵により多くの投資をしているか。
2.子供を育てている間に、どんなチャンスを逃すことになるか?
3.自分が親と確信できるか。

1.ではメスが多くの投資を行っており、結果的にメスが養育することが多い。
3.に関しては、オスは自信が持てず、次の性交のチャンスを求めて養育を放棄する。

閉経というのは、他の動物には見られない現象である。
これは、高齢出産による母親の死亡リスクを避けるためだと思われる。
人間の場合、母親の死亡は、子どもたちの生存率を低下させる。
無理に子供を増やすよりも、すでに存在する子供を守ろうとうい方針である。
また、長生きした女性は、共同体に知恵を伝承するメリットもある。

進化生物学による考察は、とてもおもしろいのだが、科学的に証明するのが難しい。
物語としては楽しいが、事実と断言できない分野だと思う。

「俺はすでに充分賢いし優れているので、これ以上の細胞質を脳に使う必要はないが、そのかわりに無用ながらその分をペニスの方にハンディとしてまわすだけの余裕があるんだ」

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