生物の中の悪魔

「情報」の視点で生物を考察している。
物理現象に情報を加えたものが生物だ、という考え方だ。
生命=物質+情報
情報によって、生物はエントロピーに逆らい続ける。
考え方は面白いは、全てを理解できたわけではない。

タイトルの「悪魔」とは、マクスウェルの「悪魔」である。
熱い気体と冷たい気体を混ぜると、温度は平均化する。
このようなエントロピーの増加は避けれれない。
しかし、気体分子を選り分けられる「悪魔」が存在すれば、エントロピーが増大しない、という思考実験が、「マクスウェルの悪魔」である。
それを実際に行っているのが、生物だとい言う。

また、本書では「進化論2.0」を唱えている。
ダーウィンの進化論は正しいが、進化は遺伝子だけで引き起こされるものではない。
環境によって遺伝子の発現はコントロールされているし、遺伝子以外の方法で引き継がれる情報もある。
これを「エピジェネティクス」と言う。

頭を切断しても再生するワームは、電場によって切断されたのが頭か判断する。
電場を操作して、2つの頭のワームを作ることができる。
そのワームの子供は、同じように2つの頭を持つ。
通常のワームと、全く遺伝子は違わないのに。

「機械のなかの幽霊」と言う時、「幽霊」とは「意識」である。
意識が、情報のネットワークの中から生まれるのなら、「意識」は情報科学で扱う分野になる。

生物の量子力学的現象の利用も興味深い。
光速を超えた伝達をする生物が存在する可能性もある。

情報の流れに焦点を合わせれば、細胞や生物の働きをよりよく理解できるだろう。必要なのは、生体中で起こっている分子の相互作用や生化学変化を記述して、その記述を論理回路に変換することで、情報がどのように取り扱われているかを明らかにすることである。

大まかに言うと、エピジェネティクスとは、遺伝子以外に生物の形態を決めている全ての要因を研究する学問である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です