メインテーマは殺人

「カササギ殺人事件」でミステリー界を騒がせたアンソニー・ホロヴィッツの新作だ。
「カササギ殺人事件」のようなアクロバットな構成ではなく、今回は新しいホームズ&ワトソンによる正統なミステリーである。
謎解きそのものよりも、デコボココンビの関係が面白い。
きっとシリーズ化して、売れ続けるのだろう。

老婦人が葬儀屋に自分の葬儀を手配した日の殺された。
自殺ではなく、他殺なのは確実である。
誰が、なぜ、老婦人を殺したのか?
ロンドン警察がお手上げな事件を、犯罪コンサルタントである元刑事のホーソンが解決に乗り出す。
作家である著者アンソニー・ホロヴィッツは、ホーソンから事件の顛末を作品として出版して欲しいと依頼される。
そのため、ホーソンの事件捜査に同伴するのだが、彼はとてつもなく変わり者だった。

この頃のミステリーとしては、いささか事件が地味過ぎる。
しかし、2人のキャラクターの魅力で読ませる小説になっている。
ミステリーとしては正統派で、謎解きもしっかりしている。
ただ、それよりも2人がうまくやっていけるか、その行方の方が心配になる。

現代風のホームズであるホーソンは、どこまでも偏屈で、私生活は謎に包まれている。
ワトソン役のアンソニー・ホロヴィッツの愚痴が、いちいちリアルで面白い。

きっと、キャラクターだけでも引っ張れるシリーズになるのだろう。

だが、私はいまや、ようやく自分の目的が見つかったような気がしていた。
探偵自身を、探偵すること。

さらに数秒のせめぎ合いの後、ホーソンはようやく心を決め、仕方がないとばかりに戸口から身を引いた。「さぁ、入ってくれ!」まるでずっと待ちわびていたかのように、私に声をかける。
ついに、謎めいた元刑事ダニエル・ホーソーンの秘密の1部がここで明かされると言うわけだ。

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