キャプテンフューチャー最初の事件

「キャプテン・フューチャー」と言えば、私的にはNHKのアニメ版である。
ストーリーはともなく、オープニングの語りがカッコよかったのを覚えている。
有名なスペオペである原作は読んだ記憶がない。
子供の頃はスペオペが好きではなかったが、年をとって守備範囲が広がったので、キャプテン・フューチャーの現代的リブートである本書を読んでみることにした。

導入部はワクワクする。
地球環境の悪化により、人類は地球外へ進出しなければならなくなったが、それを「新しい冒険の時代」として表現している。
スペースオペラとして、素晴らしい始まり方だ。

キャプテン・フューチャーがとても若いのに違和感があった。
しかし、キャプテン・フューチャー・ゼロにあたる「最初の事件」なので、これは仕方ない。
親の敵討ちから始まるストーリーは単純過ぎるとも思ったが、スペオペはシンプルな方が良いのも確かだ。
ジュブナイル的なティストの小説になっており、妙にひねったところはなく、主人公を始めとする登場人物たちの素直さが心地よい。
正義感が、自然に憎しみを克服していく。

キャプテン・フューチャーと呼ばれるのを嫌がっているのが、微笑ましい。
子供の頃につけられた不本意なあだ名を本名を隠すために使ったため、それが定着してしまう。
何回も嫌がるのが、ひとつのギャグになっている。

月面からスタートして、火星で探索を行う太陽系スケールのスペオペである。
ハードSFとは言わないが、ビームを受けて航行する火星までの定期船など、登場するメカは現代的で、それなりに説得力がある。
キャプテン・フューチャーが使う光学迷彩のような装備が面白い。
相手から自分が見えないが、光がフィールドに入ってこれないため、自分からも周囲が見えなくなる。
万能そうに見える武器に弱点があるのは良い。

爽やかに終わっているが、特に続きが読みたいと言うほどでもなかった。

それは奇跡の時代だった。驚異の時代だった、新しいフロンティアの時代だった。

かくして人類はみずからのゲノムを操作し、ついにはこうした遠い世界で快適に生きられるいとこたちを創りだした。24世紀を迎えたころには、人類とその縁者は宇宙を航行する種となっており、ひとつ以上の世界に住むようになっていた。
それは黄金時代だった。

それは苦難の時代であった。だが、そうでない時代があるだろうか?
それは、いま述べたものすべてが存在した時代であり、さらに多くのものが存在した時代だった……ただし、英雄はいなかった。 当然ながら、英雄が生まれなければならなかった。

「あなたはまだ司令の質問に答えていない」ジョオンは銃もガードもおろしていなかった。「あなたは何者なの?」
「キャプテン・フューチャーと呼んでもかまわない」  
彼女はまじまじとカートを見た。 「ななななんですって─!」

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