SFの歴史について、流れで理解したくなったので、参考になるSFの年表が欲しかった。
欲しかったのは年表だけでったのだが、日本SF 作家クラブ編だけあって奥が深い。
それぞれコーナーの執筆担当が豪華。
そしてマニアック。
スペインSF の紹介などは全くイメージ出来なかったし、おすすめSF に関しては内容を紹介する気があったとは思えない。
ただ、表紙の絵が酷過ぎる。
巻頭言が当時の日本SF作家クラブ会長の神林長平である。
そして、各コーナーの執筆者として巽孝之、東浩紀、梶尾真治、山田正紀、久美沙織、浅倉久志、加藤直之、とり・みき、庵野秀明、安田均、大原まり子、川又千秋、新井素子、高千穂遙などが並ぶ豪華なメンバーである。
「SFの歴史」として欧米や日本だけでなく、ロシア・東欧やラテンアメリカ、スペインも取り上げられているので、資料的価値は高い。
しかし、ラテンアメリカやスペインに関しては、知っている作家がまったく居なかったので、全然頭に入って来なかった。
その後は、「SFする精神」「SFの創り方」「SFサブジャンル百科事典」と続く。
「SFサブジャンル百科事典」に「ワイドスクリーン・バロック」「スペキュレティブ・フィクション」「フェミニズムSF」が入っているあたりは、さすが専門誌である。
「SFを読もう」では、日本SF作家クラブ員が選んだオールタイム・ベストの作品が紹介されている。
選ばれた作品自体は納得できるものが多いが、その解説文は、好きが走りすぎて、作品の内容が全く分からないことがあった。
このような本は、定期的に出版して欲しいものだ。
「ワイドスクリーン・バロック」では、空間的な設定には少なくとも全太陽系ぐらいは使われるーそして、アクセサリーとして、時間旅行が使われるのが望ましいーそれに、自我の喪失などといった謎に満ちた複雑なプロット、そして身代金としての世界というスケール、可能性と不可能性の透視画法がドラマチックに立体感をもって描き出されねばならない。偉大な希望は恐るべき破滅と結びあわされる。理想を言えば、登場人物の名は簡潔で、寿命もまた短いことが望ましい」
ブライアン・オールディーズ「十億年の宴」