ファインダーズ・キーパーズ

「ミスター・メルセデス」に続くキングのミステリーシリーズ第2段。
残念ながら前作の探偵役であった元刑事のビルとホリーの出番は少なかったが、犯罪小説として面白かった。
最初から引き込まれる。
キングの第二のピークかもしれない。

モリスは有名な作家の家に強盗に入り、現金と大量のメモを奪い、作家を殺してしまう。
現金とメモを入れたトランクを埋めた後、酔った勢いの強姦で逮捕され、収監される。

トランクを発見したピート少年は、貧しさで崩壊しそうな家族を救うため、トランクの中の現金を少額づつ家に郵送することにする。

現金が底をつき、ピートがメモを金に換えようとしている時、モリスが仮釈放で出所して来た。
ピートがメモを持っていることを知ったモリスは、なんとか奪い返そうとする。

家族想いのピートの健気さを良いが、文学に対する歪んだ愛情を持つモリスについての執拗な描き込みが良い。
描かれるイメージは「ミスター・メルセデス」ほどのインパクとはないが、キングらしい描写が登場人物たちにリアリティを与え、犯罪小説としてとても楽しめる。

シリーズの最後である次の「任務の終わり」では、ビルとホリーの活躍に期待したい。

「いかれ頭にはクソの価値もない」モリス・ベラミーはいう。
「いかれ頭にはクソの価値もない。クソの価値もないものは ひとつもない」  
これこそ生きる指針だ。

この男にとっては架空の人物であるアンドレア──ジミーの初恋の相手──がリアルな存在であると同時に、ピートの妹のティナはリアルに感じられないのだ。〈赤い唇〉からすれば、この世のどんな人物よりも、ジミー・ゴールドやアンドレア・ストーンやミスター・ミーカーやピエール・レトン(別名〈運命の自動車セールスマン〉)をはじめとする一同のほうがずっとリアルな存在だ。なるほど、これは根深い狂気の存在を示す徴候にはちがいない。しかし、だとすればピートも狂気におかされていることになる。この狂気の男が感じているはずの気分が、ピートにも理解できるからだ。

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