目の見えない人は世界をどう見ているのか

目が見えない人は、どのように世界を認識しているのか興味あるがあった。
舌を鳴らし、その反響音で空間を認識している、という話を聞いて驚いたのがきっかけだった。
この本を読んで、障害を持つということは、単純に機能の違いだけでなく、認識にも大きな違いを生むことを知った。

目が見えないということは、情報が少ないということだ。
少ない情報を元に、想像で補完する。
見える人は世界の全体を把握するが、見えない人は、少ない情報から世界を組み上げている。
見えている人とは、違う思考方法になる。
そして、情報に踊らさせにくいということもある。

目が見えない人の生活が、様々な面から紹介されている。
見えない人の中には、サーフィンを趣味とする人がいる、というのは驚きだ。
ブラインド・サーフィンと言うらしい。
自然との一体感が素晴らしい、ということだ。

目の見えない人を交えての美術鑑賞会もある。
見える人が、絵画についての感想を述べる。
見えない人は、他人の言葉を頼りに、推理しながら絵画を見る。
主観的には、突然絵が現れるようだ。

本書で主張しているように、障害者を特別視・同情しないのは難しい。
身近にそのような人がいないせいもあり、何かしてあげなければ、と思ってしまう。
そうではなく、違う能力を持つ人として、適度な距離を保ちつつ、関係を築くのが望ましいようだ。

個人差がありますが、物を見た経験を持たない全盲の人でも、「色」の概念を理解していることがあります。「私の好きな色は青」なんて言われるとかなりびっくりしてしまうのですが、聞いてみると、その色をしているものの集合を覚えることで、色の概念を獲得するらしい。

「波の乗る」は「電車に乗る」のと違って自然が相手ですから、相手に合わせられたときの醍醐味は格別です。視覚を排除したときに感じられる自然との一体感はたまらないものだ、と葭原さんは言います。もはや全身が触感、といった感じでしょう。

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