生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人

前作は熊の偽装殺人だったので、舞台は山の中が多かったが、今回の舞台は街中である。
生物情報工学者としての独自の視点で、犯人を追う。
主人公のセオは前作よりもたくましくなった印象である。
すきを突いたとはいえ、牢獄で殺し屋を撃退してしまうのだ。

セオはVRを使ったベンチャー企業で働いている。
VRで現場検証を行う技術などを開発している企業だ。
そこではセオの独自の手法で開発した技術が評価されている。
その技術は情報機関で利用されており、セオは倫理的ジレンマに陥る。
これが本作の全体を貫くテーマでもある。

9年前に失踪した少年の捜査を依頼されたセオは、恐ろしい連続殺人にたどり着く。
独自の捜査を行うセオは捜査機関からにらまれ、さらに一匹狼として動くことになる。

今回もセオのマッド・サイエンティスト的な手法が炸裂する。
新種のウィルスを使って、犯人をあぶり出すのだ。
違法どころか、人類への脅威ともなり得る。

最後に自分の研究所を持つことになったセオの今後の活躍が楽しみである。

グリズリー・キラー事件のあとで気づいたことがあった。面倒を引き起こし、危険に立ち向かう遺伝子を持っているのは、ジョー・ヴィクだけではなかった。もとからわかっていたことを、自分のDNAが教えてくれた。ジョー・ヴィクに劣らず、わたしも尋常ではない。細かい点ではちがうかもしれないが、それでも、この惑星の大半の人間と異なっている。
ジョー・ヴィクと同じで、わたしも狩りをしなくてはならない。

鏡の前で最終チェックをする。これが配達員に変装した生物情報工学者で、まさか遺伝子を組み替えた未検査のバクテリアを世間へとひそかに放った男だとは、だれが見ても気づくまい。

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