企業のIT化についての処方箋である。
会計中心なところが共感できる。
クラウドサービスを積極的に利用しようというところが新しい。
ただ、効率化が中心なので、経営者の説得は難しいのではないかと思う。
ITの見直しは、会計を軸に行うことを提案している。
企業には会計は必須であり、汎用的な考え方だと思う。
経験的に、会計から見ると企業の仕組みが良く分かる。
次に、従業員と顧客を軸に考える。
従業員側からみると、次のようなシステムが対象となる。
・採用管理
・労務管理
・勤怠管理
・給与計算
・経費管理
顧客側からみると、次のようなシステムが対象となる。
・名刺管理
・営業管理
・販売管理
・ウェブマーケティング
・店舗管理
これ以外にも、次のようなシステムも考えて欲しいところ。
・管理会計
・在庫管理
・物流管理
・プロジェクト管理
もっとも、業種によって必要性は異なる。
会計、人事、販売システムを統合したERPは、もう古いというのが著者の主張である。
Webサービスを組み合わせた「ポストモダンERP」を提唱している。
ネーミングのセンスはおくとして、この傾向にあることは確かだ。
しかし、データの統合などが難しい。
広く浅く理解するには良い本だと思う。
ただ、私のビジネスのヒントにはならなかった。
勤怠管理システムで単に打刻データを記録するだけなら、そこまで複雑な設定はいりません。しかし、そこから給与計算や会計へのデータ連携、有給の算出などを実現するには、各社各様のルールや法律を踏まえて、後者の設定をクリアする必要があります。そこで導入につまずいてしまうケースが多いのです。
まだ、現状なら、私は「IT活用によって売上は必ずアップできる」と言い切れます。ですが、ほぼすべての企業がITをある程度は使いこなせる未来においては、単に営業管理やウェブマーケティングに取り組むだけでは、差別化を図れなくなるのではないでしょう。