ITロードマップ2020年版

野村総研から毎年出ているIT技術の予測本である。
技術に偏らず、ビジネス目線でよくまとまっている。
最新のトレンドを確認するのに丁度よい。
今回も、知らなかったトレンドがいくつかあった。
5年後をターゲットにしており、新規ビジネスを考えるには、遠すぎず、近すぎない。
自分の仕事に活かせるかどうか、という目線でチェックしたが、すぐに使えそうなトレンドはなかった。

取り上げているトレンドをかいつまんで、紹介する。

「Web3.0に向かうブロックチェーン」
ブロックチェーンは世界を変えるかも知れない重要な技術であることは理解している。
インターネットに欠けている信用を与えるかもしれない。
現在は情報交換だけのブロックチェーンが、アプリケーションが実行可能な「プラットフォーム型ブロックチェーン」へ進化している。
乱立から相互運用へと向かい、企業内での利用からパブリックなものになっていく。
性能問題も解決されつつある。

「5G」
スマート社会実現の基盤となることが期待されている。
当初は使える場所は限られ、使える機能も超高速通信のみになる。
しかし、自社専用の5Gネットワークの構築などが可能となる。

「フェデレーション・ラーニング」
データのあるエッジ(端末)側で学習した結果を使う機械学習モデル。
プライバシー保護とAI活用の両立が期待されている。
個人情報や企業の機密情報データの活用も可能になる。

「シミュレーション2.0」
複数のモデルを組み合わせ社会システムや経営のような大規模システムでシミュレーションが利用できるようになる。
市場リスクの判断、ガスタービン運転の意思決定などの利用事例がある。
AIと融合し、精度の向上と高速化が見込まれている。

「MLOps」
機械学習と運用の組み合わせであり、一般ユーザによるAIの利用を促進する。
日常的にモニターし、再学習により継続的に精度を高める。

その他にも、以下のようなトレンドが解説されている。
・ブレインテック
・フリクションレス
・ピープルアナリティクス
・情報銀行と信用スコア

すでに「スレッド」と呼ばれる微細な糸状のセンサーと、それを安全に脳内に埋め込むための手術ロボットを開発しており、2020年から実際の人間で臨床実験を開始するという。

ピープル・アナリティクスとは、まさにこのように、「人」にかかわる企業の意思決定にデータを活用する技術であり、その点で注目を集めている。

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