今から始める・見直す管理会計の仕組みと実務がわかる本

管理会計の本は多いが、実務にフォーカスした本は珍しい。
コンサルティングで管理会計を扱うことが多いので、この本は参考になりそうだ。
理屈の上での必要性よりも、実務で出来る範囲に絞り込んだ姿勢は好ましい。
管理会計は、正確性よりもスピードを求められるものだからだ。

予算の種類としては、社内用と社外用があり、それぞれ次の特徴がある。
「社外用」
・投資家、経営者向け
・約束、必達
・達成難易度:中
「社内用」
・社内部門、経営者向け
・努力目標
・達成難易度:高

社外用は社内用に比べて達成難易度が低いので、社内で公開すると、これを目標として努力しなくなる恐れがある。
そのため、社内には社外用の予算を公開しない企業もある。

社内用の予算は、社外用の予算を元に項目を限定して、以下のポイントで差をつける方法がある。
・自社にとって可動の可能性が高い
・それが業績に与える影響が大きい

予算作成において、すべての予算項目(損益計算書を構成する勘定科目)を各部門に出してもらう必要はない。
その数値に責任を持つ部門が出すべきである。
例えば人件費であれば、責任部門は人事部門になる。

予算作成時には、各部門が盛り込む「少しの余裕」が積み上がって大きな差異になることがある。
これを管理会計部門が発見するには、以下が必要になる。
・3期分の数値の比較
・ビジネスや各部門の業務に関する深い知識

月次決算分析においては、比較項目について、以下が必要になる。
・細分化が可能
・細分化の粒度が同じ
細分化のためには、補助科目や部門コードが必須である。
分析方法として、特定部門から発生する科目については、比較して相違の大きい補助科目を探す。
複数部門から発生している科目については、比較して相違が大きい部門を探す。

予算は「夢を含む意思」であり、予測は「現実的な見込み」である。
進捗管理には予測を用いる。

KPIとして、勘定科目以外の数値を使うことがある。
勘定科目から直接進捗が分からない場合は、その科目の数値を構成する要素を分解して、KPIとして管理する。
例えば、売上は、客単価☓客数と捉えると、客単価と客数は、それぞれ責任を持つ部門は異なる。

そもそも月次決算が締まる前の、まだ実績数値の変更が可能な段階で、誤りを発見しうる分析(予測実績差異の分析)を行うのが望ましいのです。

本社費配賦がなくなったため、本社部門の損益計算書にそのまま残ることになり、その結果、本社費のコスト管理を徹底することができるようになりました。予算や前年との比較、そして同規模の同業他社との比較ができるようになったことで、本社費の多寡がこれまでよりもはっきりわかるようになったのです。

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