データで見る行動経済学

論文のような本だった。
「ナッジ」のワンテーマの研究論文で、アメリカ等の国々で政策へのナッジの受け入れ態度の調査と分析の結果を報告している。
様々な課題については検討はしているが、結論は出せず、それを正直に認めている。
統計解析部分は難しく、一般読者に売れたのだろうか、と心配になる。

ナッジとは、行動経済学でよく出てくる用語で、本書では以下のように定義されている。
「一人一人が自分自身で判断してどうするかを選択する自由も残しながら、人々を特定の方向に導く介入」
従来の経済学において合理的存在だった人間の不合理さに光を当てたのが行動経済学である。
その中で、人間の行動を意識せず誘導する手段として、「ナッジ」が登場する。

本書では、この「ナッジ」を政策に取り入れる場合の受け入れやすさを、様々な国や支持政党による違いを分析している。
基本的には、その政策に好意を持っていれば、「ナッジ」を利用することに対する許容度も高い、という当たり前の結論に至っている。
その他、調査から面白い傾向がいくつか見られるが、その原因については、仮説を提示するだけで、本当のところは分からない、と素直に認めているところに好感が持てる。

要約すると、次のようになる。「自分が反対する政策目標にナッジが適用されるか、自分が反対する政策立案者が提供するときは、ナッジには倫理的に問題があるとみなされやすくなるが、自分が支持する政策目標に適用されるか、自分が支持する政策立案者が適用する時は、同じナッジが受け入れられやすくなる」。

一連の発見からは、ナッジの目的が望ましいとされる時、そして、その目的を果たそうとする政府を人々が信頼しているときは、システム1のナッジは相対的に受け入れられやすく、また、ナッジの目的に疑問があるときや、政府が信頼できないときには、システム1のナッジに対して相対的に懐疑的になりやすいことが示唆されている。

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