気候を操作する

地球温暖化対策の最終手段である気候操作についての本。
昔から、放っておいても気候は変わるのだから、コントロールするテクノロジーは必要だと思っていたが、そのテーマの本を始めて見つけた。
気候工学という。
しかし、大規模に実現するにはガバナンスが重要。

残念ながら温暖化対策では、温暖化の速度が遅くなるだけであり、元には戻らないし、止めるのも難しい。
そこで気候工学である。

基本的な手法は、CO2除去と放射改良(SRM)である。

むかしながらの木を植えるもCO2除去のひとつである。
現代的にはCCS付きバイオマスである。
バイオマスは、サトウキビなどを燃やして発電する方法である。
食料を燃やすので問題もあるが、CO2の排出という意味ではプラマイゼロになるらしい。
そこで同時にCO2を回収し、CO2排出のマイナスを目指す。
しかし、この方法では大規模な施設が必要になるという弱点がある。

もうひとつは、SRM。
太陽光線を反射することにより、地表が温まるのを防ぐ方法である。
自然現象でも、火山の噴火により火山灰が巻き上がり、太陽光を反射することで気温が下がるという歴史的事実がある。
これを人工的に行おうというのである。
成層圏にエアロゾルを注入し、太陽光を反射させる。
さまざまな物質を使った局地的な実験はすでに行われている。
オーストラリアのグレートバリアリーフを救うための実験もあったようだ。
しかし、この方法も弱点がある。
SRMを止めると、急激に気温が上がってしまうらしい。

気候工学にはガバナンスが重要だと本書では主張している。
地域的利用により貧富の差が広がる恐れがある。
富める国の気候操作が、貧しい国へ負のインパクトを与えるかもしれない。
軍事的利用も考えられる。
このような技術には、市民を巻き込んだ議論が必要となる。

最近の天気予報では、1個の地球ではなく複数の地球をシミュレーションして、予測の幅を確かめる方向に進んでいます(専門的にアンサンブル予報と呼びます)。

実は、21世紀でも人工降雨は世界的に広く行われています。2008年の北京オリンピックの開会式では、中国政府は事前に雨を降らせて当日の晴天を目指すために、開会式のスタジアムの周りに100発以上のロケットでヨウ化銀を散布しました。(中略)タイでは干ばつ対策として国王が設立した人工降雨専門の政府部門があるほどです。

未来の放射改変を考えるにあたって、1つ重要な点があります。それは、技術は一度開発させると方向性を変えるのが非常に難しいということです。専門的には「(技術開発の)経路依存性」と呼ばれたり「ロックイン」と呼ばれたりします。技術が社会に埋め込まれると、補完的な技術やユーザのニーズ、また既得権益ができてしまうため、変化させるのが難しいのです。

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