翼を持つ少女 BISビブリオバトル部

ビブリオバトルがどういうものか、初めて知った。
この本のルールでは、自分が紹介したい本を数分間でプレゼンし、発表者と聴衆で、一番読みたい本に投票するシステムらしい。
プレゼンの後には質疑応答もあり、発表者は質疑応答も有効に使いポイントを稼ぐ。
学生時代にやった読書会とはまったく違い、スポーツのような雰囲気もある。
これは楽しそうだ。

SF好きで人とのコミュニケーションが苦手な女子高生が、ビブリオバトル部に勧誘され、本を紹介する楽しさに目覚め、仲間との交流の中で、人によって違うモノの見方を知るようになる。
バトルではあるが、目的は自分が紹介したい本をひとりでも多くの人に知ってもらうことである。
他の発表者に数で負けたとしても、ひとりでも読みたい人が増えれば、勝利なのである。
ビブリオバトルを自分を売り込むために利用しようとする他校の生徒と戦いつつ、基本理念を忘れないところが良い。

主人公の女の子が語る、SFのマニアックな話題を全てはフォロー出来ないのが悔しい。
まさかエドモンド・ハミルトンを女子高生が語るとは思わなかった。
バロウズもスターリングも、現代の高校生からすると等しく古典に位置づけられるのは、ちょっとショックだった。

なんと言っても秀逸なのは、仮面ライダーマニアの顧問代行の先生だった。
渋い雰囲気を裏切るマニアぶりである。
仮面ライダー響鬼は、全話で何話だ?という質問は一般の人には分からないだろう。
これは、途中でプロデュースが変更になったことに起因する。
それにとっさ答えられる高校生もたいしたものだ。
この会話だけで、すべてを持っていかれた気がする。

「あの・・・私が荒川さんの小説版を読んでショックだったのは、テレビ版の最終話のラストシーンーどこか外国の海岸で、五代が子供たちと戯れながら笑ってるシーンが、一条刑事の夢だって説明されていることなんですよね。あの笑顔は現実じゃなかったんだ。本当の五代は、今も笑顔を失ったまま、世界のどこかをさまよっているんだって・・・。
荒川さんはー他のスタッフもそうかもしれませんけどー気がついちゃったと思うんですよ。五代が笑顔でラストを迎えちゃいけないんだって。彼はヒーローだし、愛すべき人物だけど、同時に重い罪を背負っている。だって、グロンギは邪悪な存在だけど、それでも知的生命体じゃないですか。彼らを倒すということは、暴力で問題を解決しているってことで・・・それは本当にすごく嫌なこと、肯定しちゃいけないことなんじゃないかって。だから五代は笑顔を失ったまま、行き続けなくちゃいけないんじゃないかって・・・」

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