今回のテーマは、ミステリー。
紹介される本がミステリーなだけでなく、話全体がミステリー。
叙述トリックもあり、何回か驚かされた。
そして、次巻への引きもが酷い。
これでは読まずにはいられない。
主人公がSFファンの女子高生だということで、どんなSFが紹介されているか気になった読み始めたが、青春小説として盛り上がっている。
本編の前に、空が初めてコミケに参加した様子が報告されている。
コミケには行ったことがないが、日本独特の巨大なお祭りの雰囲気が伝わってきて楽しい。
特撮さんのおじさんたちとのオフ会で、空が紹介する本がジョン・スコルジーの『レッド・スーツ』だ。
なかなか策士である。
そして、「さよならジュピター」の地雷を踏んでしまう。
この辺りの雰囲気は、50歳前の人が読んで分かるのだろうか?
メンバーがどの本を選んで来るのかもお楽しみのひとつであり、教えるとネタバレになるが、それがないと話が進まない。
ということで、ここからはネタバレを含む、ということで。
1つめのテーマは「罪」。
メンバーのそれぞれが選んだ本は以下の通り。
今回は、対戦相手も含む。
埋火武人:管賀江留郎「戦前の少年犯罪」
帆村流歌:乾くるみ「イニシエーション・ラブ」
輿水銀:時雨沢恵一「男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている」
帆村詩歌:詠坂雄二「電氣人間の虞」
早乙女寿美歌:アントニイ・バークリー「毒入りチョコレート事件」
小熊穣:東野圭吾「超・殺人事件」
伏木空:新井素子「ひとめあなたに」
菊池明日香:スコット・O・リリエンフェルド他「本当は間違っている心理学の話 50の俗説の正体を暴く」
2つめのテーマは「ミステリー」。
真鶴高校ミステリー研究会のビブリオバトルに空がゲスト参加。
帆村詩歌:高木敦史「”菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕」
小熊穣:辻真先「仮題・中学殺人事件」
帆村流歌:桜庭一樹「砂糖菓子の弾は撃ちぬけない A lollypop or A Bullet」
早乙女寿美歌:芦辺拓「電送怪人」
伏木空:静月遠火「パララバーParallel loversー」
今回の主人公は、圧倒的に早乙女寿美歌だろう。
彼女のケレン味たっぷりの姿勢は、人生をかけた演技でもある。
しかし、その彼女さえもふっとばしたのは、菊池明日香の最後の告白である。
いや、その後に、銀の告白でこの巻は終わる。
絶対に、次の巻を読まずにはいられない、鬼のようなヒキである。
「コミケ雲?」
「何万人っていう参加者の汗が蒸発して、その水蒸気が天井に集まって、屋内に雲ができるの」「さらに寿美歌さん、憎ったらしいことに、その本を私に貸す時に言ったんです。”予告しておく。これを読み終わった君は、こんな結末ありですか、とボクに言ってくる”って。私、上級生に向かって思い切りツッコミました。”あんたはジョゼフ・ジョースターかっ!?”」
「どうも」寿美歌さんは大きく腕を広げた。「トリックはすべて暴かれた。ボクがかぶり続けていた仮面も砕け散った。もうすっからかんだ。何もない。ここにいるのは、恋人に死なれたただの女の子だ。これで芝居の幕は下りた」
腕を下ろし、頭を下げる。
「諸君、ご静聴、感謝する」