スペースコロニーと言えば、ガンダムに出てくるオニール型だろ!と思ったら違った。
この本で出てくるのは、ISSや今後予定されているゲートウェイのような宇宙ステーションだった。
この本の著者がスペース・コロニー研究センターなので、タイトルに偽りはない。
宇宙開発はマーケットが小さいので、その成果は地球での生活の向上も目標としている。
このような研究開発を「デュアル開発」と言うらしい。
SFで出てくるテーマが多いが、本物の研究は新しい視点があって面白い。
長期宇宙滞在の問題点として、次のようなものが挙げられている。
まずは「重力」。
無重力下では骨と筋肉が弱くなる。
これに対する対策は「運動」である。
宇宙飛行士には毎日数時間の運動が義務づけられている。
エクササイズ・バイクにはサドルがないのが面白い。
無重力では、体を支えるのは簡単なので、サドルは必要ないのだ。
次に「QOL」。つまり生活品質の向上である。
そこで「服」である。
宇宙ステーションでは選択はできない。
だから、数日着ても臭わない服が重要である。
オシャレだとなお良い。
「宇宙線」の問題については、薬の服用や遮蔽技術、宇宙船内の退避などの対策が考えられている。
「地球からの距離」は、食料等の輸送の障害となる。
宇宙で暮らすことにあたり、居住環境をどう作るかが問題になる。
月面のような隕石の多い環境では、地下空洞の利用が考えられる。
また、ロボットの開発も必須になる。
距離の問題もあってリモートコントロールには限界があり、ある程度自律できるロボットが必要になる。
宇宙農業の分野では、各国が開発を行っている。
宇宙ステーション内では、意外なことにウィルスや細菌が蔓延しやすい。
日本の袋型培養が面白い。
袋の中に培養を行うので、場所を取らないし、病気が広がらない。
動力源としては、やはり太陽電池が一番に考えられている。
シリコン系の太陽電池は可視光線を吸収するために黒くなってしまうが、IoT等の利用を考えて透明な太陽電池の開発が進んでいる。
そして、蓄電にはフライホイールによる方法が有望視されている。
電気エネルギーを回転エネルギーに変換し、保存するのだ。
原始的な方法だが、無重力下では有効らしい。
水と空気の再生も問題になる。
この分野では日本が進んでいる光触媒が有望なようだ。
このようなバイオ燃料電池のウェラブルデバイス用電源としての優位性は、比較的低コストで高容量化が可能であり、配線や電極触媒を紙や不織布などに印刷することで柔らかくて軽く、生体親和性の高いフレキシブルな電池を形成できることです。また、体液を燃料とすることも可能であり、体液中の成分(例えば汗中の乳酸)で発電し、自動でデバイスを駆動または充電することも可能になります。汗や尿または唾液中の成分で発電し、その出力を用いて無線通信デバイスを駆動させることもできます。
(CIGS太陽電池は)シリコン系太陽電池よりも10から100倍程度の放射線耐性があるだけでなく、ある程度の電子線・陽子線を照射すると、発電効率がどんどん向上する「自己修復効果」を持つことを示しています。