レミニセンス

「バットマン ビギンズ」「インターステラー」等で有名なクリストファー・ノーランの弟ジョナサン・ノーランが製作の映画である。
クリストファー・ノーランは、「パーソン・オブ・インタレスト」「ウエストワールド」といった私の好きなTVシリースの製作、脚本をしているので、とても期待していた。
半分水没した都市の風景は美しく、記憶を使った凝ったストーリーは良くできている。
でも、それほどノレなかった。

気候変動により水面が上昇し、半ば水没した都市に人々が生活する未来。
戦争による荒廃も進み、希望を持てない生活を送っていた。
多くの人が過去の記憶に慰めを求めていた。

主人公のニックは、元軍人で戦時中に得た尋問の知識を活かし、顧客の記憶を過去に誘導する「レミニセンス」を商売にしていた。
無くした鍵を見つけたいという客メイの記憶を誘導し、鍵を見つけることに成功した後、ふたりは恋仲になっていく。
突然メイがいなくなり、ニックは彼女を探すうちに、彼女の過去を知り、仕組まれた陰謀を暴くことになる。

マイアミをはじめとした、水没しつつある都市の廃墟のような風景が美しい。
水に浮かぶ近代的なビル群と、船を連ねた水上マーケットの猥雑な雰囲気の対比も良い。
過去の記憶を辿る旅は、ややこしすぎる点もあるが、よく考えられている。
過去の記憶の投射と現実をミックスするラブシーンは、幻想的な美しさがある。

それでもあまりノレなかったのは、キャラクターが趣味に合わなかったせいかもしれない。
ニックの助手であるワッツは、戦闘力が高く、頼りになるタフな女性である。
別れた娘と会うのを恐れており、ニックに恋心を描いているのだが、どうにもお母さん的なイメージが強すぎる。
主人公の恋愛対象としては、微妙な感じである。

最後にニックは過去を選び、ワッツは未来を選ぶ。
この終わり方は、なかなか良い。
劇中で語られるように、ハッピーエンドがないなら、ハッピーなところで終われば良い、ということだろうか。

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