やらなければいけないことが溢れる現代において、あえて「しない」ことでストレスを減らす。
著者の経験による、そのための「リスト」である。
同意できないところもあるが、全体的には納得できる。
とかく人間は真面目すぎるきらいがある。
なんか、癒される本だ。
本書のリストは以下の構成である。
1.環境をスッキリさせる「所有しないリスト」
2.行動をラクにする「努力しないリスト」
3.意識をラクにする「自分のせいにしないリスト」
4.人をラクにする「期待しないリスト」
「所有しないリスト」では「シェア」を勧めている。
他人とモノや空間をシェアすることで、一人では出会えなかった出会いがあり、世界が広がる。
確かにありそうだが、慣れないとハードルが高い。
「欲しいと何ヶ月も言い続けると、そのうち余らせている人に行き当たる」というのは面白い。
ちょっと試してみたくなる。
「欲しいと言い続ける」先がツィッターというのが現代的だ。
「古いものを捨てなければ、新しいものは入らない」というのは耳が痛い。
毎年のように断捨離を決意しているが、モノが少ししか減らない。
「何かを壊すのも楽しい」は、実践してみたい。
「努力しないリスト」の次の言葉は至言である。
「がんばるのは無条件でいいことだ」という精神論をまず捨てよう。がんばることもいいことだけど、それよりも一番いいのは「がんばらないでなんとかする」ということだ。
水木しげるは、何があっても10時間睡眠を死守したので長生きしたが、徹夜を厭わなかった手塚治虫や石ノ森章太郎は、早死してしまった。
睡眠は重要なのだ。
眠るのは気持ちいいし、夢を見るのは楽しいし、睡眠はただなので最高の娯楽だ、という著者の見方は正しい。
「自分のせいにしないリスト」の中の「予定を守らない」が面白い。
まわりに「予定を守らない人」と思われるのがラクだ、というのは分かるが、社会人としては色々と問題がある。
そこで著者が取る方法が、「チケットを買ってライブに行かない」なのが面白い。
なるほど、ほとんど人に迷惑をかけず、「予定を守らない」ことができる。
気分は落ち込んだ時は「ウォーッ、俺はもうダメだッ、どうすればいいんだッ」と叫ぶのも良い。
これなら出来るかも。
気になったポイントだけを取り上げたので、本書の本質とは離れてしまったかもしれない。
まあ、「分かる分かる」というトピックが多く、「頑張りすぎずにやっていこう」と思わせてくれる一冊である。
人間は気力や体力さえ十分にあれば、じっと何もしていない無為な状態に飽きてきて、自然と何か前向きなことをやろうと言う気持ちが湧いてくる生き物だからだ。
議論を避けるために、普段から曖昧な相槌を打つ練習をしておこう。
ぼーっとするコツは、「乗り物で移動しながら、ただ座っている」みたいに、何もしないでいても何となく気が紛れる状態に自分を置くことなんだろう。
「自分はもっと早く死んでいてもおかしくなかった、今の人生は余生とかおまけみたいなものだ」と思えば、どんな厄介な出来事が起こっても「人生はいろいろあるなぁ」と思って楽しむ余裕が出てくる。