メデューサとの出会い

クラークの日本オリジナル短編集の3巻。
知らずに3巻から読んでしまった。
クラークらしいハードで、楽天的でワクワクするSFばかり。
主に太陽系内での冒険物語。
科学の進歩が与える素直な希望と感動を描いた作品が、いまはほとんど見られないのが寂しい。

【イカロスの夏】
太陽に接近する小惑星イカロスでの事故からの必死の脱出。

【彗星の核へ】
彗星探検隊がコンピューターなしに、彗星から脱出するのに必要になったのは、意外な道具だった。

【土星は昇る】
夢のような質問を老人はしてきた。しかし、老人は夢を諦めない人間だった。

【未踏のエデン】
金星での生命体発見は、残念な結果に終わった。

どれも面白かったのだが、短編集の困ったところは、すべての話を覚えていられないことだ。

【メデューサとの出会い】
表題となっているこの作品が一番印象深い。
地球で飛行船の事故にあった船長が、飛行船のような宇宙船で木星の探査に挑む。
木星の地表を目指すのではなく、木星の厚い大気の中を探検するのだ。
木星の凶暴な天候の中での航海は、普通の人間ではとても耐えられない。
事故によってサイボーグとなった彼だけが可能な冒険である。
木星の描写が美しく、そこに生息する生命体も迫力がある。

そこで思いだしたのは、『宇宙飛行士マニュアル』の表紙に記されていた、こんなアドバイスだった。 ”どうしていいかわからないときは、なにもするな”。

1968年のクリスマス、月の裏側をはじめて目にする人間となったアポロ8号のクルーは、巨大な黒いモノリスを発見したと送信したくてたまらなかった、と話してくれた。残念ながら、分別が勝ちをおさめたのだ。

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