エッセンシャル版行動経済学

行動経済学について、幅広く解説されている。
行動経済学について興味があり関連する本を読んでいるので、当たり前だが、ほとんどは知っていることだった。
このような俯瞰的な本を読むのは知識の整理には良いのだが、刺激に乏しい事は否めない。
どのように本を選べば良いのだろう?
やはり、その分野の歴史をおさえた上で、最新の理論を読むべきなのだろうか?
行動経済学のマクロ的利用の限界が語られているのが、目新しかった。

行動経済学の面白いところは、人間は常に合理的ではなく、時に不合理な判断をする、ということを前提としていることだ。
そして、判断を歪ませる様々なバイアスを研究している。
経済学というより社会心理学のようだ。

例えば、集団に属している時は、自分が正しいと分かっていても、みんなに合わせて間違った判断に従ってしまう。
他人と一緒に間違った方が、自分の評判は傷つかないからだ。
この現象は、チンパンジーでもみられるようだ。
プロスペクト理論では、人は判断する時に、持っている情報を網羅的に利用するのではなく、思い出せる情報を集中して利用する。
これを「利用可能性ヒューリスティック」と呼ぶ。

行動マクロ経済学は、楽観的や悲観的などの社会的・心理的な要因が経済に与える影響を理解しようとしている。
しかし、ミクロ(個人)でも予想が難しいのに、それが集団となると分析が膨大になり、実現できていないようだ。

現代社会では選択肢の過負荷は特に深刻で、情報の過負荷によってさらに拍車がかかっている。選択肢の過負荷に直面すると、消費者の判断は速くなる。提示されたすべての選択肢をじっくり検討せず、リストの一番上にある選択肢をさっさと選んだりする。選択肢が複雑で、しかも恩恵がすぐに具体的に表れないような「退屈な」意思決定の場合(年金の運用計画を選ぶなど)、そもそも選ぶ努力すら放棄してしまう。

第一の主要内容は「時間選好」である。人間は現在という瞬間を特別に重要視する現在性バイアスを持っている。
第二の主要内容は「危険選好」である。人間は100%確実を特別に重要視するという「確実性効果」を持っている。
第三の主要内容は「社会選好」である。経済学では、人間のことを利己的だとみなしているが、実際には見返りを求めない利他性を持っている。

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