脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか

脳と人工知能の最新研究が紹介されており、ここまで進んでいるのか!と驚かされることが多い。
人間と人工知能の未来について、著者の楽観的な見方が良い。
著者たちのグループの行っている「池谷脳AI融合プロジェクト」は、驚くべき研究で、その結果が社会に与えるインパクトは、想像するのが難しい。

まずは、脳に関連した支援技術の現在である。
念じることでロボットアームを動かして、ペットボトルから水が飲める。
短文を読む活動を記録し、AIで解析することを繰り返すことで、考えていることを文章化できる。
人間の網膜は約1億個の細胞があるのに対し、人工眼球では4億以上のナノセンサーを搭載しており、反応は網膜より速い。
600万ドルの男か!と古い人間は突っ込みたくなる。

「池谷脳AI融合プロジェクト」では、次の4つの分野の研究が行われている。
1 脳チップ移植  
2 脳AI融合  
3 インターネット脳  
4 脳脳融合

「脳チップ移植」 は、脳にコンピューターチップを移植することで、地磁気や血圧の変化といった本来人間が感知できない環境や身体の情報を脳にインプットする。それらの新たな知覚のインプットにより、脳の機能がどのように変化するかを調べている。

「脳AI融合」 は、脳内に存在する情報を人工知能で分析し脳にフィードバックすることで、脳の機能を拡張するというアプローチである。
たとえば、わずかな音の高低やメロディーの違いなど、本人が意識的には区別できない情報を人工知能が解読して脳にフィードバックすることで、これらの違いを知覚できるようになるかを調べている。

「インターネット脳」 は、脳をインターネットや電子機器と連携させることで脳活動をもとにウェブ検索や家電操作を行うというアプローチで、脳と環境とをシームレスに接続することを目指している。

「脳脳融合」 では、複数の脳の情報を人工知能技術で連結し、個体間で情報を共有する。
これにより、言葉や仕草などの古典的な手段を超えた未来のコミュニケーションのかたちを模索するアプローチである。

「脳脳融合」においては、もはやテレパシーである。
まずは、「脳チップ移植」から試してみたい。

生物を計算素子として用いるコンピューターを「Biological Computer」と呼び、脳と脳との連結は「Brain-Brain Interface(BBI)」 と呼ばれる注目分野らしい。
サイコパスのシビラ・システムのようなことが真剣に研究されているのだ。

脳を刺激する方法としては、光遺伝学(オプトジェネティクス) と呼ばれる手法が近年の脳研究を支えているらしい。
「光によって活性化されるタンパク分子」を神経細胞に発現させ、光を当てたり消したりすることで、特定の細胞の活動を自在にコントロールできる。
しかし、この手法を使うには、遺伝子改変した上に、脳に光ファイバーをつなぐ必要があるので、人間への適用は難しいようだ。

AIの進歩によって、数百億や数千億という膨大な数の変数を活用して世界をモデル化することが可能になって来ており、世界の認識が変わる可能性が出てきている。
しかし、人間ではこのような方程式を理解できないかもしれない。

人間の脳とAIがともに進歩すれば、限界を打ち破り、アップデートするだろう。
でも、どのような姿になるか、想像ができない。

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