大前研一 DX革命

世間で騒がれているDXだが、古い人間からすると今までのシステム開発と何が違うか分からない。
結局のところ、情報・データを使って業務を劇的に変えることらしい。
それは、システム開発というよりも事業・商品企画に思える。
この本のDX事例を見ると、DXの凄さが何となく分かる気がする。

まずは、電子カルテを使った事例。
アメリカの電子カルテを預かるサービスでは、患者のスマートフォンに診療データや処方箋を送り、必要な薬が近所のどのドラッグストアにあるかを教えてくれる。
これに目をつけたアマゾンは、オンライン薬局を買収し、このサービスから処方箋をアマゾンに転送することで、アマゾンで薬を購入し、自宅に配送するサービスを開始した。
これは、とても便利で、アマゾン・プライム会員になれば送料は無料になる。

「自動車製造業」の新車市場は約9兆円だが、移動ということに視点を移すと、カーシェア、保険、メンテナンスなどの周辺分野も含まれることになり、年間の市場規模は4倍の38兆円になる。

ヤンマーでは東南アジアでのLINEの普及率の高さに注目し、顧客からLINEで故障の状況が分かる写真を送ってもらうことにした。
地元のサービス拠点から2時間かけて現地まで行っていたが、リモートで対応が完結できるようになった。

建築物の最終検査をする際に、以前は調査員が現地に行っていたが、現在はドローンを飛ばして設計とあっているかどうかをコンピュータで確認し、問題がなければ一発で合格できるようになっている。

物流倉庫のAIによる自動化と最適化に取り組んでいる。
在庫配置は、店舗ごとの最適在庫数、店舗のキャパ、配置のタイミング、移動コストを考慮しなければならない。
これを300以上の店舗に対し、人間が的確に行うのは無理がある。

ユニコーン企業の特徴は、企業した瞬間から世界市場を視野に入れていることだ。
彼らのビジネスはスマートフォンベースなので、システムを国ごとに変更する必要がなく、一気に世界標準化できるのだ。

DXではないが、ワークマンの話が面白かった。
ワークマンは主力商品が作業着等の定番商品なので、同じ商品が10年間売れ続ける。
そのため、普通のアパレルのように在庫を気にすることなく、長期の視点で製造ができる。
海外工場の閑散期に安い製造コストで生産し、在庫を処分するセールも行わない。

それから、小さく始めて細かく改善していく。いきなり全自動化を目指すのではなく、初期段階ではシステムに人間の力が介在する余地があったほうが、業務はうまく回ります。

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