黒武御神火御殿

三島屋変調百物語のシーズン2が開始。
初めからとんでもない話をぶち込んできた。
最初の3話も人間の恐ろしさや悲しさが怪しく語られているが、圧巻なのは最後の話である。
分量的にはちょっとした長編くらいはある。

お化け屋敷の話なのだが、雰囲気は映画「CUBE」の様であり、ストーカーのゾーンの様であり、何よりもキングだった。
時間の流れさえ狂っている屋敷に6人の男女が迷い込み、屋敷の謎を解いて脱出を試みる。
屋敷の外には空飛ぶ怪獣や巨大な魚がおり、人を食べるイナゴまで登場する。
これは、もう「ミスト」だろう。
宮部みゆきの時代劇は、見事に江戸時代の風俗を描いているが、本質的にはモダンホラーである。

江戸時代の風俗が、季節の花や食べ物を使って見事に描かれているが、現代に生きる私にはリアルにイメージできないのが悔しい。

古来、卯の花を咲かせる空木には、悪しきものを払う霊力があると言われている。
「確か、この時期の雨を<卯の花腐し>と呼ぶんだよね」
「はい。でも卯の花は散っても、卯槌の魔除けの力は消えませんわ」

特徴のない座敷と唐紙と障子と廊下。自分が今どこにいるのか、どっちに向かっているのか、すぐにわからなくなる。

化け物蝗の大群は渦を巻きながら、ぶぶぶぶぶと右へ、左へと気まぐれに流れ、うわんうわんと上昇したかと思えば中空で旋回し、ぶぶぶぶぶとまたこちらに迫ってくる。
とまれる所にはどこにでもとまる。たかれるものには何でもたかる。
そしてなんでも喰らい尽くす。

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