エイリアン3

ギブスンによる幻の「エイリアン3」の脚本を小説化。
ギブスン的なサイバーパンクなビジョンはないが、ポセイドンアドベンチャーのような逃避行は楽しめた。
エイリアン2のキャラが幻影として何度も現れる、エイリアン愛に溢れる作品だった。
リプリーもニートの活躍は少ないが、ビショップの変わったユーモアを交えた頑張りが嬉しい。

エイリアンに襲われた植民惑星から辛くも脱出したリプリー、ヒックス、ニート、ビショップは、脱出艇の航行装置の故障で宇宙ステーションに流れ着く。
彼らは無事に救出されたが、脱出艇にはエイリアンが潜んでいた。
恐ろしい進化をとげたエイリアンによって、宇宙ステーションは地獄と化す。

宇宙ステーションでの生活の描写が、現在からの地続き感あって心地良い。
無理に想像しなくても、スムーズに状況がイメージ出来る。
「エイリアン」「エイリアン2」の風景が刷り込まれているからかもしれない。

今回のネタは、エイリアン+ゾンビだった。
感染した人間がエイリアンになってしまう。
陳腐だが、ストーリーの運びがうまく、キャラが良いので盛り上がる。
ただ、登場人物が多すぎて、ちょっと混乱する。

ところが、宇宙空間では戦争などありえない。敵対する勢力どうしが接近して戦闘態勢に入ったとしても、それまでの移動にかかった膨大な時間のあいだにたがいの状況が変化してしまい、もはや戦う理由がなくなっているからだ。

そのデータを読んでスースロフは、この生物種が作られたものであるという確信をますます強めた。矛盾に満ちた生態は自然進化の文脈ではまったく意味をなさず、悪夢のように恐ろしいその特性は彼らを最高の兵器に仕立て上げている。支配と征服によって帝国を築く最も攻撃的な文明でさえ、卵からかえった数体に遭遇しただけで存亡の危機におちいるだろう。  
これは戦争のための兵器ではない。絶滅させるための道具だ。

かつてアポーン軍曹がヒックスに言った言葉をふいに思い出した。
(どんなばかでも扱える仕組みをいくら作ったところで、自然はさらに上等なばかを作り出すんだ)。
アポーンの言葉が正しいかどうかは別として、自然がホモ・サピエンスよりも危険な生物種を創造したのは事実だ。それがわからないばかは、上等なばかとは言えない。

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