AI法廷のハッカー弁護士

これも面白かった。
この頃でも、探せば面白い小説はたくさんある。
裁判官がAIになった未来に、そのバグをハックして勝利を勝ち取る弁護士が主人公。
行きがかり上、手伝いになった素直な青年とハッカーの少女というチームがなかなか良いキャラである。

彼が執拗に勝ち続けようとする原因である過去と、AI裁判の問題がリンクし、あわや悲しいエンディングになるかと思いきや、やはり彼は勝ちに行くのだった。
こういう発想とキャラが面白くて、頭の良い小説こそ映像化して欲しい。
絶対絶命の時にあえて「断る」岸辺露伴のような主人公である。

人が人を外見で判断するように、AIにもルッキズムは存在する。数十万時間の法廷映像を学び続けた裁判官AIのパラメータには、勝つ弁護士と負ける弁護士の声や姿が染み付いている。もちろん、判決を左右する主要な要素ではない。勝率に影響するとしても、1パーセント未満だ。それでも、私はその端数を欲する。
「喉だけじゃない。目も耳も鼻も口も頰も、腕も腹も足も、爪一枚、髪の毛一本まで、勝訴のために作り上げた。この体にメスの入っていない場所はないのさ。『無罪のためなら喉を搔っ切ったっていい』。たとえ君が犯人でもね」

「節洞レンタリースのウリは「とにかく安い。どこよりも安い」だったそうだ」  
軒下は「嫌ですね。デフレって」とコメントした。
「でも、東西フィンテックは予算ありましたよね。専用ソフトでフォーマットしてそうじゃないですか」
「東西フィンテックの稟議フローは「とにかく長い。どこよりも長い」だったそうだ」  
軒下は「嫌ですね。組織って」とコメントした。

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