山田風太郎のぶっ飛んだ小説には慣れているつもりだった。
しかし、本作はスゴい。
2人の柳生十兵衛が登場する。
それも室町と慶応の2つの時代をタイムトラベルして闘うのだ。
もう、何が何やら。
怪作にして、傑作である。
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「時代小説」タグアーカイブ
あやかし草紙
三島屋変調百物語シーズン1終了!
というか、このシリーズには、シーズンとかあったんだ。
いまや宮部みゆきの作品の中で、一番楽しみにしているシリーズなので、終了でなくて良かった。
しかし、まさかこんな幕の引き方があるとは、宮部みゆきの引き出しの多さの恐ろしさ。
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この世の春
宮部みゆきの時代劇、それも怪奇小説なら読まないわけにはいかない。
宮部みゆきの時代劇ホラーの特徴は、時代こそ江戸時代などだが、構造的にはモダンホラーだということだ。
読んでいて、まず思い出すのはスティーヴン・キングだ。
日本的な怪談というよりも、人間の恐怖をベースにした現代的なホラー小説となっている。
本作も懐かしのジョン・ソールを想い出させる嫌らしいティストになっている。
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桜ほうさら
宮部みゆき得意の人情時代劇。
SF、ファンタジーと違いこのジャンルではハズレがない。
ただ、今回のはキャラクターが少し弱い気がする。
同じ江戸の下町を舞台にした「ぼんくら」シリーズと比べると、登場人物が若干おとなしい。
今回のテーマが家族の功罪だから仕方ないかもしれないが。
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村上海賊の娘
「のぼうの城」の作者による新作時代劇。
今度は海賊だ!
相変わらず人物の造形が巧い。
主人公のやんちゃな姫をはじめ、愛すべきキャラクターばかりである。
そして、海戦の描写が凄まじい。
戦国時代の海賊同士による戦いは、手に汗握る激しさである。
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光圀伝
天下の副将軍水戸黄門が諸国を漫遊し、悪い代官を懲らしめる、ような話ではない。
水戸光圀のリアルな一生を、「天地明察」の冲方丁が描く。
ヤンチャな若侍の頃の活躍は楽しく、晩年の葛藤は重苦しくも迫力をもって、緻密な調査と小説ならではの飛躍とを織り交ぜて、秀逸な時代小説となっている。
私にとって冲方丁は、SF作家としてよりも、時代劇作家の方が性に合っているようだ。
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