対決の刻

対決の刻(上) (講談社文庫)何者かに追われる少年と犬、虐待された左手足に障害のある少女と失業中でアル中目前の女、元刑事の冴えない探偵。
3つの物語は合流し、新しい世界が開ける。
モダンホラーの巨人による、心温まるエンターテーメントである。

クーンツは、キングと並び、ベストセラーになるホラーを書ける数少ないホラー作家である。
元もとホラーのテイストはあるが、読ませるエンターテーメントを書く作家である。

久しぶりに新作を読んだら、キャラクター作りが随分巧くなった気がする。
複雑な過去を持ちながらも、精いっぱい生きている人々を、魅力的に描いている。
ひねりの利いたセリフも良い。
強盗に頭を撃たれて、自分の過去と映画のシーンの区別がつかず、それを楽しんでいる叔母さんなど、忘れられない人物だ。

しかし、3つの話がなかなか繋がらなかった。
本当に合流したのは、最後の最後である。
もう少し、小出しにしても良かったと思う。

アメリカの小説は子供の虐待が多すぎる。
肉体的虐待ではなく、巧みな精神的な虐待なので、読んでいて辛くなる。
人前では生意気にミュータントを気取っているが、家ではいつ殺されるか怯えている少女は、本当に助けてあげたくなる。

双子のアマゾネスの活躍が見たいから、映画化して欲しいものだ。
少年は映画で教育されたから、映画ネタの数多く出てくることだし。

感想を書くとネタばれになってしまので、なかなかコメントがしづらい。
まあ、たいしたネタではないが。
でも、レビューを書きながら思い出してみると、名作だったかもしれない。

人類の救いが、犬の夢にあるのならば、それはそれで良いと思う。

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