懐かしのスタージョン。
近年、再評価の動きが高まっているということで、文庫落ちした短編集を読んでみた。
本書に収録されているのは、次の中短編である。
・音楽
・ビアンカの手
・成熟
・シジジイじゃない
・三の法則
・そして私のおそれはつのる
・墓読み
・海を失った男
本書は、SF作家としてのスタージョンよりも、「奇妙な味の作家」としてのスタージョンに焦点を当ててセレクトされている。
「音楽」「海を失った男」に関しては、何を言わんとするか、ちっともわからなかった。
私としては、「人間以上」「夢見る宝石」「きみの血を」などのファンタジー寄りなSF作家であるスタージョンが好きだ。
「ビアンカの手」「成熟」「三の法則」を読みと、スタージョンの特徴に、憧れに近い「恋」をテーマにしていたことが思い出される。
恋する対象が「手」のこともあり、恋をするのが超能力を持つ老女こともあり、普通とは違う形ではあるが、はかなく純真である。
「三の法則」に至っては、異星人の持つ3への指向と人間の男女関係を両立させるために、三組のカップルを作る(3×2=6)。
「愛」ほど押し付けがましくない、「淡い」感じが、スタージョンの特徴のひとつかもしれない。
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