「しゃばけ」シリーズで人気の畠中恵の作品である。
こちらも時代モノ。
ただし、幕末である。
妖怪は出てこないが、超能力が使える。
小さな神社の神官である主人公の弓月は、夢占いが出来る。
それを見込まれて、地震で生き分かれた大店の子供を、名乗り出た3人の中から見分けて欲しいと頼まれる。
ところが、辻斬りが現れて、大事件に発展する。
主人公は、「しゃばけ」と同じで、のんびりしたお人好しである。
だから、ほのぼのとした話が展開すると思ったら、ミステリー小説のように、関係者がどんどん死んでいく。
また、夢をみる能力も暴走し、弓月の身体にダメージを与え、終いには他人にも未来を見せられるようになる。
この辺りの描き方は、ホラー映画に近い。
作者は、超能力やミステリーではなく、幕末を描きたかったのではないだろうか。
後半の、幕府を倒そうと画策する浪人や、新時代を恐れる神官たちの様子を見ると、そう思える。
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