経済活動における人間の行動が、いかに論理的でなく、感情に支配されているか、様々なクイズを交えて、面白く解説している。
しかし、自分の判断が不安になって来る。
経済学の前提は、経済活動に参加する人間は、論理的に利益を追及するということである。
それに対して、新しい学問である行動経済学は、人間の非論理性を研究する。
単純な話、ひとつの商品に高い、中くらい、安いバージョンがある場合、多くの人は真ん中を購入するらしい。
そのため、供給者側は、あえて安いバージョンを用意するのだそうだ。
人間は、利益を得ることに対しては慎重になり、リスクに対しては大胆な賭けに出る傾向がある。
この現象を、調査による統計だけでなく、大脳生理学的に原因究明しているところが面白い。
冷静な損得勘定は脳の新しい部分である前頭葉で行い、恐怖に繋がるリスクについては、脳の古い部分が担当している。
だから、まったく扱いが違うと言う。
それを検証する実験として、脳の動きをリアルタイムに把握出来るfMRIを使用している。
本当に経済学の本か!と思ってしまう。
日常生活から離れすぎた物理学はリアリティがなくなってしまったが、行動経済学をネタにしたら、面白いSFになるかもしれない。
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