ジョージ・R・R・マーティンのSFなら読まなければ!と思ったが、共作だった。
そして、マーティンよりも共作者の色が強かったようだ。
後から思い出してみると、「ハックルベリーフィンの冒険」のような物語だった。
人類が宇宙に進出した未来。
ところが、宇宙は他の知性体が開拓し切っており、人類はその残り物を貰うしかなかった。
辺境の植民星に住む探鉱師ラモンは、酒場の喧嘩で相手を殺してしまい、未踏のジャングルに逃げ込んだ。
しかし、そこで謎の異星人に捕まってしまう。
そして、彼らを発見し、逃亡した男を追跡することを強要される。
本編は、2つのペアによる追跡と逃走の物語である。
一つ目のペアは、ラモンと異星人のペア。
最初は全く意思の疎通が出来なかった異星人が、怪我をして弱ってからは人間的に思えて来る。
2つ目のペアは、ラモンとラモン。
主人公のラモンは、実はクローンだった。
ラモンを追いかけるために、ラモンの指から作られたのだ。
本人も最初は気づかなかったのだが、記憶が戻って来るにつれて、真実を悟る。
本物のラモンは、多少見た目の違いもあって、もうひとりが自分のクローンだと気づかない。
世にも珍しい同一人物のペアによる逃走劇である。
ドッペルゲンガー・テーマの小説とも言える。
主人公(コピーのラモン)は、ラモンの短気さ、野蛮さに気づく度に、「そういう人間だった」と思い出す。
ある意味、自分自身の確認の物語である。
日々の糧を得るために狩りをしたり、寝床を作り、イカダを作る。
アウトドアの生活が丁寧に描かれているところに好感が持てる。
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