「数学的にありえない」の著者による2作目は「心理学的にありえない」だった。
そこまで2匹目のどじょうを狙うのかよ!と思ったが、なかなか面白かった。
よく出来たエンターテーメントだった。
だいたい、このタイトルは日本で付けたもので、原題は全然違う。
テーマとしては、よくある超能力+陰謀のアクション小説である。
作品内でも触れられているが、キングの「ファイアースターター」を想わせる。
超能力を持った子供たちが、世界転覆を狙うカルト教団と戦う物語である。
テーマは古いが、表現は現代的で、飽きさせない。
表情を分類し心理状態を推測する心理学の手法や、超能力と共感覚の融合など、小説の表現としてとても面白い。
構成もよく出来ている。
現在から始まり、過去に戻り、メインの事件が現代で起こった後、少し過去に戻る。
まさか、最後の最後で騙されるとは思わなかった。
なぜグノーシス主義か、とても不思議だったのだが、最後には納得した。
アダム・ファウアーは、まだ作品数は少ないが、今後要注意の作家である。
とても映像的な小説なので、すぐにでも映画化して欲しい気がする。
しかし、超能力者同士の心理戦など、小説では面白いが、映画化すると陳腐な表現になってしまうに違いない。
いっそクローネンバーグにお願いして・・・いやいや、違う作品になってしまうだろう。
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