西尾維新によるアンチ・ヒーロー・シリーズである。
その長かった四国編もやっと終了した。
何にしてもめでたい。
このまま四国から抜け出せないかと思っていた。
このシリーズは、人類対地球という不思議な設定である。
主人公の空々少年は、感情がないため地球の送り込むエージェントを判別出来るという特異体質である。
そのため、地球と闘う秘密組織にヒーローとして向かい入れられる。
彼をリクルートするにあたり、逃げ場をなくすために関係者を皆殺しにするという鬼畜ぶりである。
たまに地球側と闘うこともあるが、行きがかり上、味方を殺すことが多い空々少年である。
そんな彼の今回のミッションは、突然住民がいなくなってしまった四国の状況を探ることである。
到着早々、彼は魔法少女と闘うことになる。
地球と闘うもうひとつの秘密組織による実験で、ゲームにより、四国の住民はほぼ全滅してしまった。
このゲームはルールに違反すると、爆死することになる。
ゲームの勝利条件は、全てのルールを収集することであると思われる。
という話は、厚い本で数巻続いた。
その間、空々少年は様々な魔法少女と時に熾烈に、時にまぬけに闘いを繰り広げて来た。
最終巻では、生き残った魔法少女達と本土から来た部下及びマッドサイエンティストとチームを組む、最後の闘いを挑む。
地球対人類という設定もどうかしているが、四国編ではさらに魔法少女が絡んでくる。
この最終巻では、その上、とんでもない勢力が参戦する。
さすがは西尾維新である。予想の斜め上を攻めてくる。
とにかく大団円を迎え、すべての伏線をウルトラCで回収し(したと思う)、次のエピソードに向けて濃いキャラクターたちを温存したまま、主人公はパワーアップした。
次はどんな話になることやら。
キャラクターとしては、心のない主人公さえもイライラさせる天然少女地濃が気に入っている。
私の中では、彼女の声は「化物語」の八九寺真宵である。
「何を言っているんですか、空々さん」
ここぞとばかりに空々を責め立てるようなことを言ってくるのは、もちろん地濃だったー彼女は別に、手袋少女のように空々少年に反発心を持っているわけではなく、人を強く攻撃できる機会があれば損得抜きでとりあえず攻撃しておくという、そんなキュートな性格の持ち主なのである。
[amazonjs asin=”406299044X” locale=”JP” title=”悲録伝 (講談社ノベルス)”]