「BORN TO RUN」にも登場する著名なウルトラランナー スコット・ジュレクによる著書である。
彼の半生がトレーニングと大会、そして食事を中心に語られている。
弱虫と呼ばれていた子供時代から、ウルトラマラソンのトップランナーとして活躍する現在までを、大会を中心として年度別に語られている。
また、ヴィーガン(完全菜食主義者)である彼のお勧め料理が、写真とレシピ付きで紹介されている。
紹介されているレシピは、米や豆腐が多用されており、日本人には違和感が少ないと思う。
しかし、試しにコンビニで食べ物を選んでみたら、意外に乳製品がネックになることが分かった。
トレーニングのポイントが、コラムで解説されているのも嬉しい。
控えめな書き方だが、トップランナーの言葉は重みが違う。
ウルトラランナーであるスコット・ジュレクは、栄光やお金を求めているのではなようだ。
走ることで何かを見つけようと、必死にあがいていることがこの本からうかがえる。
ウルトラランナーは、一般的なアスリートと違い求道者と中毒者の多い変人の集まりであるようだ。
ある意味、現代のアンチ・ヒーローなのかもしれない。
野菜中心の生活で十分なエネルギーが摂取出来るのかとも思うが、ウルトラランナーが太鼓判を押しているのだから問題はないのだろう。
スコット・ジュレクが言うには、植物中心の食生活に変えると風邪を引かなくなり、ハードなトレーニングからの回復も早くなるようだ。
今の生活では完全菜食主義者は無理だが、部分的に移行してみるのも良いかもしれない。
新しい食材との出会いもあるだろうし。
痛みを挑戦として抱きかかえ、失うことを厳しい幸せだと感じることができるのは、妄想に取りつかれた狂人か聖人のどちらかだけだろう。自分もそうだからだ。自分が選んだこの競技では長時間続く苦痛がつきもので、それに耐える能力に応ずて敬意が払われるという稀有な男女の集団に僕は属している。僕や周りのウルトラランナーにとっては、幻覚をみたり、嘔吐したりするのは、草野球でスライディングする程度のことだ。
ランニングの見返りは、いや、あらゆることの見返りは、自分の中に存在するものだ。競技の中でさらなる見返り、さらなる勝利を目指してきた僕が、それこそ何度も学んできたことだ。モチベーションを自分の外に置くことはありがちだけれど、思い出してほしいのは、自分に喜びや平穏を与えてくれるのは、優勝そのものじゃなくて、それを達成するプロセスだ。ポスターや自動車のバンパーに貼ってあるステッカーによく書いてあるように、人生は旅であって目的地じゃない。
本当のウルトラランナーは、睡眠を奪われ、全身の筋肉疲労に耐えなければならない。「燃料が全部なくなって初めて新たなエネルギーを探し出せるのだ」
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