歴史を大きく動かした植物

植物を中心にした人類の歴史を紐解く。
生物学的な知見は少ないが、人間と植物の関係が面白く、時に悲惨でもある。
悲惨なのは、主に人間のせいだが。

じつは双子葉植物よりも単子葉植物の方が進化した植物だというのに驚いた。
構造が複雑な双子葉植物の方が進化しているように見えるが、スピード重視で単純化した単子葉植物の方が進化した植物だったのだ。
2つあった葉っぱをひとつにして、形成層のようなしっかりとした構造を捨て、スピードのために余計なものを省略したのだ。

普通の植物は成長点が茎の先にあり、上へ上へと成長していく。
しかし、イネ科は成長点が株のもとにあるので、葉っぱの先をいくら食べられても成長できる。
また、イネ科植物の葉は固くて食べにくいだけでなく、ほとんど栄養がない。
養分は地面の際にある茎に避難させて、蓄積している。
牛ななどの草食動物は、栄養の少ないイネ科植物から栄養を得るために大量に食べなければならない。
そのために発達して内臓を持つには、容量の大きな体が必要になった。

私たちの身体は痛みの元となるトウガラシを早く消化・分解しようと胃腸を活性化させる。
トウガラシを食べると食欲が増進するのは、そのためである。
トウガラシに含まれるカプサイシンによって痛覚の以上を受けた脳は、痛みを和らげるためにエンドルフィンを分泌する。
その結果、わたしたちは陶酔感を覚え、忘れられない快感を感じている。

ジャガイモは「聖書に書かれていない植物」であった。
聖書では、神は種子で増える植物を作ったとされるが、ジャガイモは種子でなく芋で増える。
これが性的に不順であるとされ、ジャガイモは有罪とされた。
その刑罰は「火あぶりの刑」だった、という落語のような話。

ジャガイモは芋を植えてどんどん増やすことができる。
そのためアイルランドでは収穫量の多い一つの品種を国中で栽培した。
その結果、疾病によってアイルランド国中のジャガイモが全滅してしまった。

日本の農林水産省では、木本性の植物を果物とし、草本性の植物を野菜という。
イチゴやメロンも木になる果実ではなく、草本性の植物なので日本では野菜である。

緑茶と紅茶は同じチャという植物から作られる。
リンゴを切ると切り口の変色するように、赤黒く色づいた葉から作られたのが紅茶である。
収穫してすぐに加熱すると、酸化酵素が不活性され緑色が保たれる。
これが緑茶である。
中国では緑茶が好まれるが、ヨーロッパまでの海路を運ぶために傷みにくい紅茶が出荷されるようになった。

チャが広まる前は、イギリスではアラビア半島から持ち込まれたコーヒーが飲まれていた。
コーヒーハウスは男性たちの社交場だった。
コーヒーハウスに行くことの出来ない女性たちの間で広まったのがティーパーティーである。
男女の出会いを求めて男性がティーパーティーに行くようになり、コーヒーハウスは廃れてしまった。

農耕を行い、農作物を収穫すると、作物が吸収した土の中の養分は外に持ち出され、土地がやせてしまう。
早くから農耕が始まった地域では土地が砂漠化し、文明も滅びゆく運命にある。

トウモロコシは散布しなければならない種子が皮で包まれているため、人間の助けなしには子孫を残すことができない。
はじめから食べられるために作られたかのような植物である。
そのため、宇宙人が古代人の食糧としてトウモロコシを授けたと噂されている。

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