「読書会」とは、また懐かしい言葉だ。
大学時代、サークルの数少ない活動として、大学の近くの喫茶店で読書会をしたものだ。
しかし、この「読書会」の相手は、大御所の山田正紀である。
恩田陸もさぞ緊張したことだろう。
また、ゲストも笠井潔、萩尾望都と、とても豪華である。
扱っているテーマもなかなか通好みである。
- 半村良「石の血脈」「岬一郎の抵抗」
- アシモフ「鋼鉄都市」「はだかの太陽」
- ル・グイン「ゲド戦記」
- 沼正三「家畜人ヤプー」
- 小松左京「果てしなき流れの果てに」
- 山田正紀「神狩り」
- S・キング「呪われた町」「ファイアスターター」
- 萩尾望都「バルバラ異界」
- 恩田陸「常野物語」
話の内容は堅苦しい文学談義ではなく、過去の思いでや作品への思い入れが語られていて、とても読み易い。
飲み屋でだべっている感じもあるが、作家の苦労も語られていて面白い。
「神狩り」で使われていたガジェットが、理論的背景よりもカッコ良さで選ばれていた、というのには驚いた。
笠井潔がなかなかいいことを言っている。
「絶対的にオリジナルなものなんか、どこにもない。基本的には、読者が作者になるわけでよね。「すごく面白かった。終わったのが残念でたまらない」と思える小説があって、しようがないから似たようなものをつくってやろうという発想ですよ」
「恩田さんが言った「神=ストーリー」の発想は面白いな。人間は、本能が機能不全に陥っているがゆえに多くの情報を取り込んで、その情報が錯乱しているだけでは不快なので、無理やりにも関連づけて意味を見出してしまう。無秩序・無意味に耐えられない人間のあり方に、神が宿るのだとも考えられるよね」
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